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ブラックベルト二段
2008年7月29日 (火)
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黒帯 KURO-OBI 初回限定版 出演: 八木明人,中達也,鈴木ゆうじ,内藤剛志,小宮孝泰 監督: 西冬彦
周星馳来日時に「日本の空手が見たい」と言われた西監督がフルコン系のコンビネーションを披露。しかし周星馳、「それキックだよね。僕の見たいのは空手なんだ」との言。伝統派の型をやってみせたところ非常に喜んだ。さらにまたトニー・ジャーにも同じようなことを言われたのを機に日本空手の重要性を確認。伝統派空手映画の作成を決意したとのこと。ヒット作とヒットソングのタイアップが全盛の昨今、この心意気を評価したいと思う。
あらすじ。時代は満州国建国当時の日本。柴原道場で師匠の下修行を続ける3人の若者、義龍、大観、長英。そこに憲兵隊があらわれ道場の接収を宣言する。諍いから長英は腕を切り付けられ負傷。憤慨した大観は憲兵と立ち会い、撃ってはならぬとの師の言を破り打ち倒す。憲兵隊長との立ち合いとなった段、師は大観を制し義龍を指名。義龍は師の言を守りつつ隊長を制した。 数日後、柴原師が斃れる。師は長英に受け継ぐべきものを見定めるよう言い残し、黒帯を託した。後日憲兵に呼び出され、兵舎に向かう途中、義龍は憲兵隊長の子供に仇討を挑まれる。彼は負けた己を恥じて自殺していたのだ。迷う義龍はその槍を受けて崖下へと落ちて行った。そして師の打たぬ空手に疑問を持った大観は、憲兵隊の招きに応じて憲兵隊の空手教錬となるのだった。 憲兵教錬となった大観は腹黒い新憲兵隊長の女郎屋経営のための土地巻き上げの思惑に半ば気づきながらも周辺の道場を次々と打倒し勢力を広げていく。また、一命を取り留めた義龍は農家で静かに暮らすも農家の娘が身売りすることとなり、それを助けに向かうこととなる。 かくして2人は再び相まみえることとなるのであった。
先に行ってしまえば主演2人のアクションは素晴らしい。義龍役の八木さんは国際明武舘剛柔流空手道連盟6段。祖父明徳氏は剛柔流空手道の開祖・宮城長順氏の後継者。父明達氏は国際明武舘剛柔流空手道連盟会長。大観役の中達也さんは松濤館流系の日本空手協会総本部師範。6段。それでいてカメラ映えする、顔も強い人たちです。演技に関しても中々にがんばっていると思います。このお2人は素晴らしいのですが。
最近ショウブラづいていたし、もともと香港映画とか好きなので武術映画で日本人が悪役、という構図は慣れっこなわけです。が、香港映画の日本人悪役より本作、日本映画の日本人悪役が悪そうなのが少し衝撃的だった。あと軍部が女郎屋を、とかどう考えても脚本の政治的意図が見て取れます。 冒頭、憲兵隊が柴原道場の山の中の練習場に現れる。二列縦隊で。接収の通達に来るのに何でこの大人数なのだ。しかも全体止まれ、とか左向け左とか言いながら。しかも言うのはMCコミヤ。コント赤信号。小宮孝泰さんは舞台や一人芝居等精力的にがんばっているそうですが、この配役はいかがなものかと思いました。しかも口調に無理している感が強く、声の通りが悪い。実はいい人とか、小心者である、とかのギミックがあるならまだしもそういった広がりもないので冒頭に変な(本当に変な)インパクトを残しただけであった。
義龍と大観の対立は結構面白い形であったと思う。大観は攻めの技術や実践性を重んじ、強くなることに手段は選ばない。他方義龍は師の教えを頑なに守り、受けの空手に専念する。大観は軍部についた悪徳空手家ではなく、終盤で自ら語るように強くなるために「自ら選んだ道」がそれだった。逆に義龍は師の教えを頑なに守るが、それによって幸せを得るものは少ない。仇討に刺され、農家の娘は連れ去られ、憲兵隊に銃を向けられる。向けられた銃に無防備で進んでいくが、彼は自分が撃たれ倒れたとき後ろの少女たちがどうなるか考えたのだろうか。彼は撃たれることで自分の責任を果たせる若しくは解放されると考えた節がある。義龍は少なくとも賭場から少女たちを救出する段まではあまりにも受動的に見え、見る側の共感は得難い。どちらかといえば大観のほうが共感しやすいのではないだろうか。物語の構成としては柴原先生の「本気の拳を向けるべくは自分自身」の言葉通り義龍と大観は対であり、自分自身である。その二人が拳を向けあい「至福の時」を過ごして和解し、完全になる、ということだろう。このような話の中で、嫉妬等をからませず、また途中双方の歩み寄りのような物のない書き方は珍しく、物語を卑しいものにしない、武道家らしい実直な話にすることに成功していると思う。しかし、和解した後の描写がほぼないため義龍に対しての共感を得られる段階に入っていないように感じられるのは難点だ。
アクション面では、賭場のチンピラが飛び後ろ回し蹴りをしてくるのは噴いた。本当に噴いた。あれはないよ、さすがに。チンピラ飛び技使いすぎだ。もう少しまじめな話では最後の二人の戦いは、尺をもう少し取って、カメラももう少し引きで撮って2人のアクションをはっきり見れるようにしていただけると幸せになれる。僕が。
(更新 2008年7月29日 (火) 14時29分) / 0 コメント
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