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tha-garlさん
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tha-garlさんの最新日記

2008年11月20日 (木)

言い訳



どういう状況で体調不良に陥ったのか。

実際自分ではよくわかっていませんw

そんなわけで、事の起こりから説明しましょう。

※以下はちょっと汚い話になりますので、

 食事中だったり、その手の話が苦手な方はスルーして

 ください。こればっかりは責任持てませんからw

15日。会社でイベントがあり、その日は月に一度の

夜間待機の業務もありました。イベントであまった

お弁当をもらい、夜間待機しておったのですが、

しばらくすると下痢と嘔吐に襲われたのです。

そりゃもう、仕事している中でワーストに入るくらいの

出来事でした。待機なので何かあったら出動しなければ

ならない緊張下で、特に下から30分に1回の

ペースで水状の下痢。更に夕飯を吐きつくし、下痢の

為脱水気味になりかけ、水分を取ろうとするも、

口から戻ってくるわけだ。ひたすら出動にならない

ことを祈りながら、布団に包まり、便意と吐き気に

耐えた。ようやく静かに眠れたのが明け方5時。

関東でも寒さが厳しくなったと感じられた16日未明だった。

夜間待機の出動は無く、8時まで睡眠をとる事はできたが、

その時間にたたき起こされて、9時までイベントの準備

の手伝い。それから別の事務所へ車で移動、その拠点で

業務対応をするのだが、とてもじゃないけどそんな気に

なれない。申し訳ないけど、事務所で寝袋敷いて

横にならせてもらった。幸い、日中業務も何事も無く

終わっていく。そして16日の夕方帰宅。

熱を測ってみるも平熱。もしかしてイベントで出された

お弁当?という疑問が残り、症状が治まることのないまま、

17日を迎えた。流石に下痢気味でいつ実が出るか判らない

状態で出社して仕事など出来ないので、17日は体調不良で

休みをもらった。月曜日だけあって、病院で一時間半も

待合室で待たされたが、手持ち無沙汰で待っていられる

ようになったことに、自分の年を感じつつw

内科の先生に診察してもらった。一応、イベントの

弁当の話をしたが、その弁当を食べて同じような

症状になった人間はいないようだったので、

食中毒の可能性は低くなった。そして、詳しい検査を

する必要もないでしょう、と言われた。詳しい検査など

していたら、面倒だし、金かかるだろうし、

時間掛かるだろうし、先生の判断に賛同し、

お腹の薬をもらって、さっさと家に帰りました。

まぁ、薬をもらってからは随分と落ち着きましたが、

その日の夜に今度は頭痛が・・・。

次から次へと、困ったちゃんなボクDeath。

翌朝目が覚めて、まだ頭痛がするようだったら

会社を休むと決めました。二日続けて休むのは

相当抵抗がありましたが、上司がゆっくりやすめ、

といってくれたので、その日を満喫・・・療養

する事としました。

翌朝はお腹の薬を飲むのをやめて、風邪薬を飲みました。

鼻水も出ているし、風邪かな?という、本当は

イケナイ判断なのですが、流石に二日続けて

同じ病院にいくのが恥ずかしかったんですね。。。

でも、そのお陰で頭痛が治まり、夜には

落ち着いていたので、風邪は治ったっぽいですw

お腹の調子も初日よりかは落ち着いてきたので、

19日には復帰できるな、と確信しました。

しかしながら、日付が替わるまで起きていられない

と感じていたので、小説の掲載を日付が替わる前に

掲載したのでした。こうしてくっだらない

話を掲載できるのも体調がよくなったからですね。

若干、自分の計画していた通りには進まなかった

ここ数日ですが、とりあえず仕事に復帰出来てよかった。

まぁ、こうして振り返ると、実は単にお腹に来る

風邪だったんじゃないかな~と思ったりも

するんですが、体調不良でお腹壊したといっておいた

ほうが病人っぽくて役得じゃないですかwww

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(更新 2008年11月20日 (木) 23時39分) / 0 コメント

2008年11月18日 (火)

Quest for Xanadu  2-1



Black Star #1

秘薬の話なんてこの世の中にごまんと

存在する。ある街へ行った時「どんな

病気も、これを飲めば一発で治る」

などという話を聞き、ちょっとから

かうつもりで問い詰めると、その薬の

中身は「解毒草」で着色しただけの

「回復薬グレート」だったり、とか。

間違いのない、確かな情報が巡って

くるのは、森で木の葉を探すような

もの。あの頃は、気の遠くなるような

聞き込みの毎日だった。


そして今は温暖期の眠れない夜。

さっき苦くも淡い思い出の女の子の

話をした直後だった。

「ジャンボを出てからは

どうしたのよ?」

俺は様々な人や物が集まる

「ドンドルマ」へ赴いた。エリス

さんから紹介状を書いてもらった

「調合の神」と呼ばれる爺さんに

会いにいったんだ。それから

「バサルモス」の珍種、黒い岩竜

「バサルコア」の血が病気を治す

手がかりになるかもしれないと

教えられた。

「へぇ。それから?」

偶然にも、火山帯で「バサルコア」

の目撃情報の噂を耳にしたんだ。

「なんだ。必死に探したわけ

じゃないんだ」

そう言うなよ。人間必死になれば、

良い話っていうのは必然的に

転がってくる物なんだぜ。

「ふーん。にわかに信じがたいけど」

信じるも信じないもお前次第さ。

とにかく、エリスさんと別れ

「ジャンボ」を発ってから五ヶ月後。

ちょうど寒冷期のど真ん中。俺は

「北エルデ」地方の「ン・ガンガ」に

立ち寄っていた。「バサルコア」が

目撃された「ラティオ活火山」が

近くにあって、鉱山や温泉場としても

有名な所。湯治場として栄えている

から、「黒龍病」の治療に関する

他の情報も得られる事を期待して

いた。


「ン・ガンガ」のハンターズギルドを

拠点において、湯治場の店主や

女将に色々と話を聞いて回って

いた。いつものように「黒龍病」の

話をすると、鼻で笑われたりするの

が関の山だ。でも湯治場だけに、

不治の病と闘う人からも話を聞く

ことが出来た。そして人伝いに

「黒龍病」に掛かった友人を救う

為に、あるハンターが奔走して

いる話を聞く。俺は彼女が滞在

している宿に向かい、部屋のドアを

ノックした。中から若い女の

返事が聞こえてきて、ドアが

開いた。赤いロングヘアーを

なびかせて、アイルー種の肉球が

デザインされたセーターと赤と黒の

チェック柄のショートパンツを

着こなした人、その名をマコと

言った。

「どちら様・・・ですかぁ?」

童顔もそうだが、幼げな喋り方を

する人だった。そんな彼女に突然の

訪問者として変な目で見られた

が、自己紹介とここに来た目的を

彼女に告げた。すると、彼女は

笑い出したのだ。

「それは違いますよぉ。私の友達が

かかっているのは黒死病なんで

すぅ」

「黒死病」とは、細菌の感染により

血液が異常をきたし、皮下出血で

黒い痣が現れて、発症から一週間で

死んでしまうという恐ろしい

病気だ。しかし、一般には知られて

いない呼び方がある。急性敗血症。

部屋のベッドで静かに寝ている

友人がかかっている病気は慢性

出血症。もう一つの黒死病だった。

その病気は、皮下出血を起こす

こともさることながら、何の前触れ

もなく出血し、血が止まらなく

なってしまう症状が起こる病気で、

身体の抵抗力が徐々に低下し、

普通の人間の免疫力なら発症

しない感染症になり、やがて死に

至る。これも不治の病の一つと

されており、現代医学ではどう

にもならない。

「もしかして、キミもハンター

ですかぁ?」

俺はそうだと答えると、暫く考えた

後、部屋のベッドの友人に耳元で

そっと告げた。

「ちょっと出掛けてくるですぅ。

マサミはお留守番してて下さいぃ」

ドアを閉め、部屋から離れた

マコさんの声は、きゃぴきゃぴと

喋る調子は相変わらずだが、雰囲気が

ちょっと変わった感じだった。

それは病人の前では元気に振舞おうと

しているのだろう。それでも時折

見せる悪戯っぽい笑顔が可愛い人と

言う印象だった。


俺は彼女に付いて、喫茶店に入って

いった。喫茶店のちょび髭マスター

とは顔見知りらしく、店に入ると

同時に挨拶をして彼女が座った

カウンター席の隣に俺が座り、

彼女の話とやらを聞くことにした。

「何飲むですかぁ?」

と聞かれたので、とっさにお任せ

しますと応えると、

「いつもの二つですぅ」

と、ちょび髭マスターに向かって

その一言で注文を終えたのだ。

「ノーチェスくん、って言いま

したねぇ」

母ミスティを残し旅立ってしまった

俺は、彼女の気持ちを理解など

できず、ただ同情を寄せるだけだ。

「君のお母さんの黒龍病は本当

なんですかぁ?」

俺は感情を少しだけ露わにして、

強い調子でそうだと言った。

「出身はどちらですぅ?」

「フラヒヤ地方」の「ルプス村」だと

答えた。するとマコさんは目を

丸くしていった。

「ということは、キミが

『フラヒヤの魔手』を討ち取った、

ミスティさんのせがれさんですぅ?」

まさかこんな埃っぽいところにいても

「フラヒヤの魔手」と恐れられた

「ドドブランゴ」の名を耳にする

とは思わなかった。

「同郷ですねぇ。実はマコぉ、ポッケ村

出身なんですよぉ。ミスティさんの

ご活躍はウチの村まで聞こえいるですぅ。

でもぉ、そんなミスティさんが黒龍病

だなんてぇ・・・信じられないですぅ」

俺たちの話の間を縫って、ちょび髭

マスターがマコさんの頼んだ物を

持ってきた。「ン・ガンガ」特産の

茶葉を使った紅茶だった。俺は角砂糖を

三つ入れたが、マコさんは

ミルクポットからミルクを注ぐだけに

とどまった。お互いに紅茶に口を

つけながら、再び話を再会した。

公にはなっていない二十年前の

黒龍「ミラボレアス」の襲撃、

俗に言う「黒龍禍」。母は黒龍を

討伐したパーティの一つに所属して

いた。そして黒龍に関わった者は、

消息不明となったり、発狂して

自我を保てなくなったりと、悲惨な

末路を辿る運命にあり、その中で母は

「黒龍禍」から十余年、毎晩夢の中で

黒龍と一人で対峙し続けた。ついには

正体不明の病気として、身体を蝕まれて

いたのだった。

「そうだったんですかぁ。

ノーチェスくんも頑張っている

ですねぇ。それでは、マコたちの

事情も少し話させてもらいますぅ」

マコさんとマサミさんは親友だった。

しかし、マサミさんは生まれつき

身体が丈夫ではなく、しばしば薬で

以ってその病状を抑えてきたのだ

という。だが時が経つにつれ病状が

進行し、薬も利かなくなっていくのは

火を見るよりも明らかだった。そこで

マコさんはマサミさんの病気を治す

ためにハンターとなり、マサミさんの

病気を治す秘薬を探す旅に出た。

そしてこの湯治場があることを知り、

こちらに呼び寄せたのだと言う。

三年前は動ける身体だったマサミさん

だったが、今では寝たきりの状態と

なってしまっている。

「マコたちがぁ、ここに居るのはぁ、

こいつが理由なんですぅ」

数枚の紙を広げ、ある絵を指差した。

それは目撃例が殆ど無い「バサルコア」。

この個体は、黒い「グラビモス」こと

「グラビコア」への成長過程の一時期で

あるが、幼体の時点で黒い甲殻を持つ

種類は極めて稀少。「バサルコア」は

成長過程であるため、そのエネルギー

消費量は膨大であり、その身体に流れる

血液はどの「グラビモス」種にも

無い程のエネルギーで満ちている

のだと言う。人はそれを「黒星」と

呼び、ある文献によれば

「バサルコア」の血液に含まれる

成分が、血液の病気の改善に

使われた、と記載されている。

「この文献も、王立図書館の奥の

ほうに眠っていた物だったから、

信憑性は何とも言えないのですぅ。

でもでもぉ、マサミを救う

ためだったら、何でもしてあげたい

のですよぉ」

俺もその気持ちは良くわかった。

だから俺は母の為に、ここに

居るのだ。昔、誰かが言っていた。

本気になれば、誰かが助けてくれる、

と。やはり「ン・ガンガ」に来て

正解だった。俺はその「黒星」を

分けてくれ、と頼んだ。マコさんは

快く了承してくれた、が。

「もちろん、バサルコアを一緒に

討伐してくれたらですけどねぇ」


俺たちは喫茶店を出て、紹介したい

人物が居るとの事で、ギルドへ

行こうと誘われた。その道中、

向こうから一人の男が走って

くるのだった。

「おーい、マコォーー」

鉄の塊ともいえるハンマーを

携えた男だった。

「聞いてくれ!・・・って、

お前誰?」

俺はその男に物凄く睨まれて

いるが、マコさんは俺のことを

淡々と紹介してくれた。そして

俺はマコさんにこの人のことを

尋ねた。

「こいつを紹介しておきたかった

んですぅ。マサミのバカ兄貴の

ナグですぉ」

いや、バカって、と俺は思わず

もらしてしまった。

「おいおい、邪険にするなよ。

俺たち幼馴染みなんだからよぉ」

口先を尖らせて、ふて腐れる

ナグさんに対して、マコさんの

冷たい仕打ちが続く。

「お前は喋るな、ですぅ」

罰印の粘着テープをナグさんの口に

貼り付けた。息が出来なくなり、

苦しそうにもがきながらテープを

取り外した。

「つったく、相変わらず冷てぇん

だから・・・。って、そんなことより」

テープを丸めてぽいっと捨てると、

ナグさんは再び取り乱し始めた。

本当に忙しい人だ、と思った。

「黒バサの討伐許可が下りたぞ!」

「本当なんですぅ?!」

話を聞くと、二ヶ月前に目撃された

「バサルコア」。ナグさんが病気の

妹を救うためと言う理由で、自分で

依頼を発注していた。当然参加する

のはナグさんと、その友人のマコさん

だが、物は試しにと、俺も「バサルコア」

討伐に同行したいと願い出た。

「当然ですぅ!」

「マコ・・・。いいのかよ、

今日出会ったようなやつを仲間に

引き入れて」

ナグさんは怪訝な表情で俺を見たが、

当然と言えば当然だ。自分の背中を

預けるわけだから、最低、微塵でも

信頼が置ける人間でありたいものだ。

「彼は信用できますぅ!」

彼女に話した伝説の「黒龍病」の話、

「フラヒヤの魔手」討伐の実績、

そして何より、俺の真っ直ぐな

瞳が信頼できると言ってくれた。

「そうか・・・。マコがそう

いうのなら」

ナグさんも渋々俺の同行を

認めてくれた。そして改めて

自己紹介をして、宜しく、と

言いながら手を差し出した。

「ハンマー使いのナグだ。マコとは

十年来のパートナーだ。宜しくな」

ナグさんは伏し目がちながらも、

俺と握手を交わした。

2-2⇒

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(更新 2008年11月18日 (火) 22時34分) / 6 コメント

2008年11月12日 (水)

ノーチェスの記憶 4-6(再)



~FINALE & PROLOGUE~

当ても無く彷徨うわけではない。人探しに

肝心なのは、当然情報収集だろう。それに

いつ帰れるのか分からない長旅だ。資金面

でも十分に備えておきたかった。だから、

しばらくは狩猟生活を続ける必要があった

のだ。最後の母の形見もなくなってしまった

今では、村長のばあちゃんが餞別として

くれた「ハンターナイフ」一振りだった。

村の鍛冶屋ではこの仕事が精一杯なのだ。

俺は笑顔でそれを受け取り、腰から下げて

いる。村を出てから3週間。街から街へ

行く馬車を乗り次いで、「ドンドルマ」

の「メゼポルタ広場」へとやってきた。

大勢の人が行きかい、賑わっている。前に

来た時よりも施設が充実し、街の人だけ

ではなく、狩人たちの往来も見受けられた。

様々な人が集まり、様々な物が集まる。

より多くの物を流通させるために、その

中心点が入り組んだ街から大きな広場へと

移されたのだ。道行く人に尋ねると、

ここの通りを行けば「ドンドルマ」の

中心街へと抜けられると言っていた。

しかし、俺の方向音痴は相変わらずの

ようで、いつの間にか、広大な麦畑が

広がる街の外に出てしまっていたのだ。

道が間違っている事に気付き、引き

返そうとしたその時、道の向こうから

やってきた女性が俺に話しかけてきた

のだ。

「ドンドルマのハンターズギルドは

どこデスカ?」

変わった訛りがある人だった。シキ国に

近い国の言葉だと聞いているが、実際に

目の前にして話すのは初めてだった。

涙ほくろが似合う、黄色の肌を持つ、

それは美しくも、可愛らしさのある

女性だった。そして背負っている

弓矢、身を包んでいる防具は全て

「フルフル」素材を使った狩猟装備

だった。俺も目的地が同じである事を

告げると、そこまで一緒にいくこと

となった。

「猟団を立ち上げようと思って

いるのデスヨ」

聞けば、これからハンター登録を

しようとしている、初心者ハンター

だと言うのだ。弓の練習と笛の練習を

してきたと言っているが、そんな彼女が

1人で狩場に出かければ、間違いなく

獣たちの餌食となってしまう。俺は

彼女が本気でそう言っているのか尋ねた。

「ハハハ、初心者の戯言にしか聞こえ

ないかもしれませんネ。でも、皆で

まッたり、且つ楽しくハンターライフを

送れるような、憩いの場所みたいな猟団が

あッてもいいじゃないデスカ?」

今まで殺伐としたハンターズギルドを

転々とし、その空気に慣れていたせいか、

このような和やかな雰囲気をかもし

出す女性ハンターに出会った事は、

衝撃であり、新鮮でもあった。

「情報伝播に関する知識があるので、

大々的に団員を募集するつもりなンデス」

猟団を立ち上げる者は大勢居ることだろう。

そんな中で特出すべき技能を持っている

者が団長であれば、きっと多くの人間に

集まってもらえるかもしれない、この時

そう感じたのだ。

「その猟団に入れてもらっていいですか?」

もちろん、俺の本来の目的である父親の

情報収集も兼ねての事だが、彼女の言う

ような穏やかな猟団に身を委ねてみるの

もいいかもしれない、と思ってた。彼女は

にっこりと微笑んで、頷いた。

「お、俺、ノーチェスって言います。

ノーチェス・アイファ・ヴェラーノ」

俺は右手を彼女に差し出すと、その小さな

手で俺の入団を許可してくれた。

「飛橘(フェイジュ)といいマス。今後

とも、よろしくお願いしマス」

そして続けざまに、彼女が立ち上げようと

している猟団の名前を尋ねた。

「麦穂などの豊穣を祝うオメデタイ歌、

という意味の穂の歌。収穫を祝うが如く、

毎日が楽しく彩られた猟団にしていきたいデス」

これが俺と飛橘団長の最初の出会いだった。


今ではすっかりと大勢の仲間たちに

囲まれて、「3つの街」ではちょっとは名の

知れた猟団と成り得た。今思えば、彼女との

出会いが無ければ、今のように楽しい

生活はないと思っている。本来の目的を

忘れたわけではない。ただ、旅はしばらく

止めにして、もう少しだけ、穂の歌猟団に

腰を据えていようかと思う。


今日の話はこの辺にして、この続きは、

いつか時間のある時に話す事としよう。


ノーチェスの記憶 【終】


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(更新 2008年11月12日 (水) 22時29分) / 0 コメント

2008年11月6日 (木)

ノーチェスの記憶 4-5(再)



~Misty・Aifther・Verano~#5

これで母は助かる。帰宅してから直ぐ、

叔父さんと共に薬の調合を始めた。

まずは肝を乾燥させ粉末状にした物を、

同じく乾燥、粉末化した「ケルビの角」と

調合し、生命に息吹を与える「活力剤」に

調合した。

「姉貴、俺たちの最後の希望だ。

ゆっくり飲んでくれ」

母を優しく抱き起こした叔父さんは、

スプーンに掬った薬液を、ゆっくりと

母の口へと流し込んだ。唇から薬液が

滴り落ちながらも、母は懸命の喉を

動かして飲もうとした。叔父さんが

零れ落ちた薬液を拭いながら、二杯目で

飲ませるのを止めようとしたところ、

囁くような声で、もう1杯飲ませて、と

懇願するのだった。叔父さんはしぶしぶ、

しかし相変わらずゆっくりと優しく、

母の口に薬液を運んであげるのだ。

薬液はまだ十日分残っている。この薬が

効いて、十日後に母は何処まで回復するの

だろうか。至高の鎮痛剤と最高の良薬が

手に入ったのだ、怖いものは無い、と

思っていた。そして母を休ませるべく、

叔父さんは母をベッドに寝かしつけた。

布団を肩まで掛けると、母は俺の事を

呼んで、囁くような声でこういった。

「あんたたちの・・・お陰で・・・

楽に・・・なったよ・・・。・・・ありがとう」

叔父さんは喋ると疲れるぞ、と制したが、母は

「体調がいいから、話くらいさせて・・・」

と言い、続けた。

「あいつ・・・、折れちゃった?・・・また

作って・・・、返してくれれば・・・」

病気になってもがめつい人なんだ、と

思わず吹き出してしまった。叔父さんも

吊られて吹き出し、母も小さく肩で

笑っている。俺は、ちゃんと鍛えて

返すから、それまでに病気を治さなきゃな、

と言った。母は微笑し、布団から出したか

細い手で、俺の手を握った。氷のように

冷たい手だったが、俺には十分暖かい

手だった。また一緒に、狩りに行こうな。

だから今日はお休み、と俺は言った。

しかし、それが母と交わした最後の

会話となった。


夕方、レイチェルが母に夕飯を持って

いった時の事、既に意識は無くなって

いた。その時俺は今後の身の振り方を、

村長のばあちゃん、リチャードさんを

交えて話し合って席を外していた。

叔父さんが血相を変えて部屋に入って

きた時には、母の身に何かがあったの

だと、容易に察しが付いた。俺たちが

部屋に付いた頃には、既に何人かの

村人が母を囲んで、涙していた。俺は

母を呼び、人込みを掻き分けて母の

脇へとやってきた。純白の布が被せられ、

その隣ではレイチェルがおいおいと

母の胸に顔をうずめながらないている。

俺は今までの自分のやり方を自問し、

母の死を看取れなかった自分に

叱責しながら、母の死を涙で悲しんだ。


その翌日。母の葬儀がしめやかに

行われた。母の死に顔は、どこか

笑っているようだった。「黒龍病」で

死に逝く者は、黒龍の恐怖で顔が

歪むと言われているが、母の死は

微笑んで安らかだった。自分が死ぬのは

狩場の中だ、とあれだけ言っていた

母だったが、結局ベッドの中で死んで

いったのは不本意だっただろうか。

でも、五体満足で安らかな死を

迎えられたのは、運命であり、まだ

幸福だったかもしれない。俺たちの

ような狩人で、五体満足で生き永らえる

のはまず少ないからだ。母は村の外れの、

フラヒヤ山脈が一望できる高台の墓地に

埋葬され、沢山の人が涙し、献花した。

「まるで、花畑だな」

俺以外、誰も居なくなった墓前で

テリオス叔父さんがやってきた。

「母ちゃんも、こんなに大勢の人間に

想われて逝ったんだ。胸の張れる立派な

母親だ」

墓標には「ルプス村の英雄、白銀の夜叉、

Misty Aifther Verano、安らかにここに

眠る」と彫られている。叔父さんは俺の

肩を抱き寄せた。

「母ちゃんは、最後に何もいえなかったけど、

よく言ってた事があったんだ。あいつには、

私のように復讐の鬼になって欲しくない。

仲間を見つけて、恋人を見つけて、家庭を

築いて欲しい、と」

叔父さんの声が涙ぐんできているのがわかった。

「いろいろな人とであって、より価値観を

大きくして、より大きな狩人になって

欲しいんだろう。だから、

母ちゃんのようには成るな・・・」

叔父さんが泣き出し、母の墓前を抱き

かかえるように崩れた。俺もそんな光景を

見て、そして居なくなった母への求心で、

叔父さんからもらい泣きしてしまった。


叔父さんから聞いた、母の遺言を元に、

今後どうするかを決めた。それは「ルプス村」を

離れ、旅立つ。村には既に契約している狩人、

リチャードさんが居る。俺たちが住んで

いた家は、元々狩人向けに建てられた借家で、

本来は契約が無くなるのと同時に、村に

返さなければならない。母が病床に伏しても

追い出されなかったのは、村が母に

世話になってきたからこそ、死ぬまで

あそこに居ることができた。だから、俺も

潔くここを離れなければならなかった。

しかしながら、ここは俺の故郷でも

あるため、いつでも帰ってきなさいよ、

と村長のばあちゃん始め、あのレイチェル

さえも俺が村から出て行く事を決めた時は、

私の家に来なさいよ、と言ってくれた。

まぁ、一生扱き使うつもりなんだろうな、

と思いつつ、村を出る意志は固かった。

「ノーチェス、あんた本当に村を

出るの・・・?」

その日の夜、いつもばあちゃんがいる

焚き木の前に俺は一人で当たりながら、

この星空も見納めなのかな、と思いながら

感傷に耽っていた。ばあちゃんはギルド

申請用の書類を作成しているため、

今はここには居ない。代わりに来たのは

あのやかましいレイチェルだった。

昼間言っていた事が気掛かりながらも、

いつもと変わらない態度で彼女に

接する事にした。彼女と目を合わせ

ないように、そっぽを向きながら、

そうだ、と無愛想に応えた。

「そっか・・・。じゃあ、どうすれば

この村に留まってくれる?あたしが

あなたのためにミックスビーンズの

ポタージュスープを毎日作ってあげれば、

ずっといてくれるのかな?それとも、

前みたいにあたしも一緒に旅に

連れて行くとか・・・」

いつもしっかりしていて余裕綽々の

彼女の様子がいつもと違う事を

知りながらも、目を合わせないで

居る事に心が痛んだ。ふとレイチェルを

見ると、作業着代わりにしている

「ガウシカの毛」で作った

「マフモフジャケット」と「マフモフスカート」

ではなく、街で作ってもらった、大事な

行事がある時にしか着ない、一張羅の

純白のドレスだった。ショールを

羽織っていながらも、双肩を露にした

ドレスで、寒い田舎には相応しくないが、

彼女なりに精一杯身形を綺麗にしている。

「レイチェル・・・、ごめん」

思わず彼女の顔を見てしまった。元々

美人だが、上手になった化粧がさらに

彼女を引き立てる。上流階級の社交界に

出れば、たちまち様々な男が言い寄って

くる程の清楚な美貌。しかしそんな彼女の

心を知りながら、俺はもう二度とレイチェルの

顔を見ることが出来なかった。

「そうだよね・・・。お母さんのため

だもんね・・・」

俺は自分が着ている「マフモフジャケット」の

上着を、寒そうにしている彼女に掛けた。

「それもあるけど、他にも目的なら

あるんだ。俺がハンターとして成長すること、

ハンターをしながら行方知れずのクソ

親父の情報も集めつつ、旅する事を決めた」

「だけど・・・」

レイチェルは何かを言いかけていたが、

俺はその言葉の上から、続けてこう

言ったのだ。

「だから、待っていて欲しい、なんて

言わない。俺も母さんから直接遺言を

残されたわけじゃない。叔父さんが言った

のが嘘か本当かさえも、母さんが死んだ

今では分からない。でも俺は自分で

進むべき道を決めたんだ」

レイチェルは、かすれた声でわかった、

と言い、その場から立ち去った。走り

去る彼女は俺の「マフモフジャケット」を

落として去っていった。あんな美人を

口説くチャンスは、後にも先にも

それだけだった。


そして旅立ちの日。翌日は良く晴れた

日で、俺の旅立ちを祝っているよう

だった。薬を探しに出かけた時よりも

違う、清々しい気分とどこか心寂しい

ような、不思議な感覚が入り混じって

いた。母の墓前で祈りを捧げながら、

旅立ちの報告をした。そして、空から

見守っていて欲しい、とも。

「これがドンドルマギルドに申請する

書類だよ。これを見せれば、余計な

手続き無しで辺境地の依頼

『フロンティアクエスト』が受注できる

からね。最後にこんなことしかして

やれなくて、本当にすまんのう」

俺はばあちゃんに礼を言った。そして

ばあちゃんの周りには村人が集まって

いたが、レイチェルの姿だけ見当たら

なかった。俺は村人から激励の言葉を

もらい、手を振って元気良く旅立って行った。


その日は良く晴れた日。

ミスティ・アイファ・ヴェラーノの魂を

引き継いだ男が狩の最前線

「フロンティア」へ向けて旅立った。

Extra Story⇒⇒⇒

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(更新 2008年11月6日 (木) 21時17分) / 0 コメント

2008年11月5日 (水)

ノーチェスの記憶 4-4(再)



~Misty・Aifther・Verano~#4

ひんやりとした冷気が鎧の下からジンジンと

伝わってくる。不思議と痛みが無いのは、

この氷のせいもあるかもしれないが、

あまりの衝撃の為、身体が痛みを感じる

限界を当に超えたのだろう。起き上がろう

としても起き上がれないのがその証拠だ。

まどろみながらもまだ意識があるのは

「ティガレックス」が衝突した時に

「クロームデスレイザー」が盾に

なってくれたのだろう。母の形見

ではあるが、いつもこいつに守られて

いた。怨剣と蔑まれながらも、

それでも俺の親代わりだったの

だなと、つくづく感じる。ふと、

今まで一度も使ったことは無かった

「シキ国」のテリオス叔父さんが

昔渡してくれた「秘薬」がポーチに

入っていることを思い出した。この

まま死にたくは無かったので、

もしかしたら助かるかもしれない、

と言う望みに賭けながら、動きを

取り戻しつつある左手で「秘薬」を

探した。紙に包装された丸薬で、

口にすると生薬の苦味が口の中で

広がって吐き出したくなるが、

何とか喉を動かして飲み込んだ。

薬がどれくらいの時間で作用する

のかわからなかったが、口の中に

放って舌で転がした所が妙にポカポカ

するのだった。だが次第にポカポカから

ヒリヒリする痛みに変わり、冷たい

空気を口の中に送り込んでその

痛みを抑えようとした。薬は

どうやら即効性のもので、飲み

込んだ胃からもポカポカとして

くるのだった。その感覚がだんだんと

全身に回り始める。対「ゲリョス」戦の

時のような、一時的な痛み止めではなく、

身体の芯から治癒していく感じなのだ。

さっきまで感じていた氷洞の冷気が

自分から発せられる熱で全く感じない。

それどころか、自分で溶かしている

ような感じさえする。それが「片倉一門」の

歴史を結集した力だった。「シキ国」は

ますます面白い国だと思った。


それから意識が戻った時には、さっきの

痛みが嘘の様に消えていた。それ

どころか、身体の中から強い力を

感じてならないのだ。これなら奴に

勝てるかもしれない。だが強い力を

もってしても、所詮は驕りに過ぎない。

必ず仕留めて、その肝を煎じて母に

飲ませるのが俺の使命だった。

大剣を構え、溜め切りの素振りを

した。様子がおかしい。いつも手に

している「デスクロームレイザー」が

片手剣のように軽い。試しに片手で

柄を持ち、頭上でバトンのように

クルクルと振り回して見た。思わず

ニンマリしてしまったが、大剣を

背に収めると、続いてその場で

思い切り駆け足をした。だが

ぜんぜん疲れない。そして身体の

内から湧き上がってくる力は、

「ティガレックス」の攻撃を受けても

持ちこたえられそうなくらいだ。

まさしく最高にゴキゲンな状態だ。

俺は全速力で氷洞を駆け上がって、

再び雪原へと出た。


出口から雪原を見渡しても、

「ティガレックス」の姿はどこにも

なかった。もしかして逃げられたの

だろうか。正直、さっきからどれ

くらいの時間が経ったかは判らな

かった。俺自身は長い間気を失って

いたような感じでもあったが、良く

見ると足跡が真新しいことから、

さほど時間が経っていないことが

判った。だからそう遠くには行って

いない。「ペイントボール」の臭いを

鼻で嗅ぎ分けると、どうやら山頂

付近にいるようだ。そのまま山頂部へと

向かい、岩陰に隠れながら様子を

伺うようにして覗くと、

「ティガレックス」は何やら山頂部の

峰に向かって爪を立てていた。

上のほうに何かあるのかと思い見上げ

ると、そこには村にいるはずの

テリオス叔父さんがいたのだ。

「チェス、ここを爆破して、こいつを

岩の下敷きにする。準備ができるまで

奴を引き付けておくんだ」

俺は親指を立てて叔父さんに合図した。

すると「ティガレックス」が俺の

存在に気付いたようで、俺に向かって

吼えた。そして右前足を地面に叩き

つけて、雪玉を飛ばしてきた。意識を

雪玉に集中すると、それがゆっくり

飛んで来るようになった。これも

きっと「片倉家の秘薬」の力だろう。

難なくその玉を避けると、俺は

「ティガレックス」に向かって走った。

奴も同時に俺に向かって突進して

くる。俺は大剣を盾にして構えた。

今なら奴の突進を力で食い止められる

ような気がした。ぶつかった瞬間に

俺は雄叫びを上げて、奴の突進を力で

押さえ込んだ。防御を解くと、大剣を

片手剣の回転斬りのように大きく

振り回し、暴力的な惰性を奴の顔面に

叩きつけた。紙一重で目を吹き飛ばす

事はできなかったが、角二本を削ぐ

事はできた。奴は身をすくめたと

思うと、周囲をなぎ払う回転攻撃を

行ってきた。しかし、ガードをする

俺には全く効くはずも無く、通常なら

衝撃を受けるはずなのだが、その

衝撃すら蚊ほどにも感じなかった。

そのまま左前足ががら空きとなった

ので、ハンマーのように両手で構え、

力のまま振り下ろす。翼のような足が、

翼と足に分離した。「ティガレックス」

からは聞いた事の無いような悲鳴を

上げて、のた打ち回った。俺は剣を

構えたまま走り出して、がら空きと

なった右足を回転切りで切り裂いた。

狙いが十分ではなかったので足は無事

だったが、左同様翼が雪の上に撥ね

飛んだ。「ティガレックス」は一度

起き上がり、その場から退いた。再び

全身に血が巡り始め、怒り状態へと

変化していく。大剣を背中に仕舞い、

奴に向かって走り出すと、奴は噛み

付き攻撃をしてきた。さらに前の

めりとなり、もう一度噛み付いてきた。

目の前でその口が閉じると、俺は

大剣を再び構えて、今度こそ頭を

吹き飛ばすように回転切りを行った。

しかし、それだけでは足りないだろう、

と思い、ハンマーの回転攻撃のように、

その場で回り始めてぐるぐるとその顔を

切りつけた。しかし、同時に違和感が

あったのだった。いつぞやの時の様に

感じた、柄がふと軽くなる感じ。

そして重く鈍い金属音。「咬剃」の

刻印だけが空高く舞い、ダイヤモンド

ダストの中へと消えていった。旅を

している時、無茶な使い方をしていると

剣の寿命を縮めると説教をされた

ことがあった。俺の内なる狂気が

ふと消えて、我に返る。顔が潰れた

「ティガレックス」だったが、まだ

のた打ち回るほどの元気はあるようで、

怒りを更に倍増させて俺に向かって

突進してきた。

「そのまま駆け抜けろ!」

叔父さんが頂上から声を掛けて

きた。俺は言われるがまま走り

抜けた。ふと上を見上げると、

峰のたもとにいくつもの

「大タル爆弾G」が仕掛けられ

ていた。命と引き換えに

「ティガレックス」を倒そうと

する叔父さんの名を叫んだが、

爆発音と共にその声がかき消されて

しまった。剣の様に尖った峰が

「ティガレックス」の元へ落下して

いく。爆発音に驚いたやつは、

一瞬何が起こったのか理解できず、

そのまま岩の下敷きとなった。

暫くは雪煙に隠れて状況が確認

できなかったが、警戒しながら

接近すると、落下した岩は

「ティガレックス」の下半身に

落ちたのみで、身動きが出来なく

なっているだけだった。弱っている

のは明らかだが、時間が経てば

岩をどかして、再び活動を始める

ことだろう。止めを刺すなら今の

うちだが、「クロームデスレイザー」が

折れてしまった為、止めを刺す

ことができない。ふと「ティガレックス」の

右前足のところに、叔父さんが

背負っていたと思われる太刀が

落ちていた。俺はすかさず鞘から

太刀を抜き、暴れるやつの首に刃を

当てた。以前にもらった「香駿」

よりも研ぎ澄まされており、頼りない

感じだった「香駿」よりも力強さが

感じられた。刃を落とすと、

奴の首が「シモフリトマト」のように

軟らかく切断されていく。あまりに

見事な業物故に、鮮血が噴水の

ように、目の前に噴出していた。

戦いが終わると同時に、身体の力が

一瞬で抜け、安堵と同時に意識が

飛んでしまった。


次に俺が目覚めたのは、ベースキャンプの

ベッドの上だった。隣には死んだと

思われたテリオス叔父さんが座って

いる。彼が生きていた事に、俺は

安心したと告げた。

「爆風で吹き飛ばされて、崖から

落ちたけど、なんとか岩にしがみ

付いて、登って来られたんだ」

凍りついた岩肌を良く登って

こられたものだ、と思った。アイファ

一家の人間とは末恐ろしい。

「お前が飲んだのはうちの秘伝の

丸薬で、一時的に人間の力の制限を

引き上げるものなんだ。鬼のような

力が手に入るのと引き換えに身体を

酷使するから、使った後は皆お前

見たくなっちゃうんだけどな」

ははは、と笑いながら叔父さんは

言った。よくそんな危険な代物を

甥っ子に渡せたものだ、とおじさんが

憎らしく思えた。

「デスレイザーが折れた時には、

駄目かな、とは思ったんだが、俺が

放り投げた『香雅』を受け取って

くれたようだな」

「香雅」と呼ばれた太刀は、既に

叔父さんの手に戻っていた。

「『香駿』とは、目に見えぬ匂いが

駿け、一瞬だけいい香りがするが、

風が吹けば匂いは消える。本来は

達人が自分の剣の腕に驕りを持たぬ

よう、己の技術のみで生き永らえる

業物だ。しかし『香雅』はその香りの

中に常に身を置く事ができるほどの

雅やかさ、つまり絶対的な場所を

指す。達人が自分と同等、もしくは

それ以上の相手と対峙した時に、

己の技量と剣の力量を如何無く

発揮できるように作られた大業物だ」

つまり、旅立つ前に「香駿」を俺に

渡したのはもっと修行に励みなさい、

と言うことだったのか。

「今回のお前の戦い方は、力に任せて

剣を振るい、怨剣の狂気に飲まれた。

奴も最後の力を出すつもりだったの

だろう。その身と引き換えにお前に

勝利をもたらした。最終的に勝って

よかったが、それはお前の勝利

じゃない。まだまだ修行が必要の

ようだな」

叔父さんの言うとおりだった。確かに

俺は「ティガレックス」を打ち倒す

ことは出来たが、これは俺の力量で

はなく、「秘伝の丸薬」と

「クロームデスレイザー」の狂気、

叔父さんの協力で得た勝利だった。

そんなことよりも、

「ティガレックスの肝」が採取できたか

どうか尋ねた。

「ああ、きっちり採取したぞ」

叔父さんはそう言って、氷袋を俺に

差し出した。俺はそれを受け取って

岐路を急いだ。眩しいばかりの朝日が、

雲の合間から昇ってくるのだった。

4-5⇒⇒⇒

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(更新 2008年11月5日 (水) 00時29分) / 0 コメント

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