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tha-garlさん
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tha-garlさんの日記
Quest for Xanadu 3-3
2009年1月8日 (木)


Bewitching Moonlight in Deeply Midnight #3

静寂なる海を渡り歩き、火の海をオアシスで

やり過ごす。それがオリビアさんの立てた

プランだ。一日目の夜は何事もなく過ぎて

ゆき、目的地のオアシスにたどり着いた頃

には東の地平線が明るく輝きだす頃だった。

ラクダたちの手綱を樹に縛り付け、二人で

テントを張り、その中に氷結晶を敷き詰めた。

しばらくすると、二人の体温で蒸し暑く

なっていたテントの気温が下がり、寝る

には最適の温度となった。テントは生憎

二人がやっと入れる位の小さく、ベッドの

持ち込みも適わなかったので、二人で

一緒に寝る布団というものを被って寝に

入った。二人で一緒に寝るのは母親と

一緒に寝て以来だ、という話をオリビアさんに

した。

「そうか。君にはお母さんがいるのだったな」

良く考えて見れば、俺の話を彼女にした

覚えがなかった。それに、お互い酒の酔いに

任せていたところがあったので、例え俺が

していたとしても、うろ覚えで終わっていた

かもしれない。

「そうか・・・。それでザナドゥ探索に

賛同してくれたのか」

母が病気で、治療薬を探して旅に出た事を

話した。話す俺も俺だが、聞き手のオリビア

さんはオリビアさんで、話を引き出すのが

上手く、ついこれまでの経緯を長々と話して

しまう。そして今回の旅には万能薬となる

薬を捜し求めるその影で、どんなモンスターにも

負けなかった母親が、日に日に弱っていく

姿を見たくない為に逃げ出したのでは

ないかと、自問する時もある。すると

オリビアが小さく微笑んでこう言ったのだ。

「君にとって、お母さんを残し旅に出る事が

後ろめたかったのだろう?それでも

お母さんは君の背中を押してくれた。

旅は人を大きくしてくれるから、お母さんは

自信を持って君を送り出したんだ。もっと

世界を見て欲しかったんだよ」

オリビアさんのこの言葉は、俺の心に染み

込むように強く響いた。まるで母の言葉

そのものに聞こえてきて嬉しかった。すると、

彼女は身体を寄せてきて抱きしめられた。

「慰めてやる。私も寂しい夜はお師様に

こうしてもらった物だ」

そのお師様とは何者なのかと、オリビアさんに

尋ねた。

「両親の居ない私にっては、父のような人だ」

オリビアさんは腕に力を入れると、俺の顔が

彼女の胸に埋もれる。

「ほら、こうすると気持ちがいいだろう」

薄着のせいか、彼女の乳房の形がはっきり

とした弾力で感じ取れた。そして「ドドブランゴ」を

討伐し終わった後、母に抱かれた時の事を

思い出した。暖かくも落ち着くような、

人肌の温もりがこんなにも愛おしいものか。

俺も彼女の背中に手を回して抱きしめた。

完全遮光の分厚いテントで、隙間から差し

込んでくる僅かな光を頼りに、オリビアさんの

顔をうっすら見いだす。彼女の顔を見上げて、

気持ちいいかどうか尋ねた。

「うん、私も気持ちいい」

彼女は微笑んでいる。

「だがな、汗まみれで申し訳ない。もっと

綺麗な身体で抱きしめてあげたかった。

・・・だから泣くな」

いつから涙が流れたのだろう。でも単純に

嬉しかったのだ。今まで当たり前のように

母と居て、疑う事無く自分の家が在る。

そんな人間が旅をすると、その人格を大きく

してくれるのは間違いない。ただ、どこへ

行っても一人。自分に居場所など無いことを

痛いくらいに感じてしまう時がある。

「お母さんが恋しいのか?」

違う、と俺は言った。でも故郷【くに】が

恋しいかもしれない、と言った。すると

オリビアさんは少し悲しい声で俺に言ったのだ。

「君が羨ましいよ、私に本当の家族は

居ないからな・・・」

ぎゅっと抱きしめられた後で、オリビアさんは

我に返った様子で、改めて俺に言った。

「なんで言わなくて良い事を言っちゃうん

だろうな・・・。そのように訓練を受けて

きたのにな・・・」

今までつっかえていた何かが壊れたかの

ように、オリビアさんが自分のことを話し

始めた。

「私はな、戦争孤児なんだ」

何処の戦争かは分からなかった。強大な

モンスターが分布する世界と言えども、

人間もまた敵に成り得る世知辛い世の中だ。

近年で国同士の大きな戦争は聞かないが、

伝えられる事のない国の内乱によって、親が

殺されてしまうケースがオリビアさんのようだ。

妹と共に泣いていたところを、ある傭兵、

後の「お師様」に拾われて「一人でも強く

生きていける」事を目標に、仲間たちと

共に強くなっていったそうだ。

「だから、本当の親の温もりというものを

知らない。私がこんなに硬く冷たい喋り方を

するのも、幼少の頃から大人に混じって武の

鍛錬を受けてきたからなんだ。もちろん

生きる為、妹を守る為だ」

俺は今まで、自分を不幸だけど強い人間

だから、今を生きていられるのだと思った。

でも俺以上の物を抱えているのはオリビアさん

から見たら、単に同情されていただけに

過ぎない。この程度で慢心が生まれて

しまう俺など、駄目な人間だ。吐き捨て

るように言うと、オリビアさんが俺の頭を

撫でてくれた。

「あなたは母親想いの良い男だ。マザコン

でもないし、逃げてもいない。一生懸命

お母さんを助けようとしている。誰も

・・・少なくとも私はそのようには思わない」

俺は顔を上げて、オリビアを見た。

「見つかるといいな、万能薬」

オリビアはにっこりと微笑んで俺に言うと、

俺も微笑みを返す。

「どうした?私が笑うのがそんなに

おかしいのか?ん?」

俺はオリビアから目を逸らしたが、そう

簡単に逃がしてくれなかった。手を頬に

あてがって無理やり顔を起こすのだ。彼女の

柔らかい手がなんとなくくすぐったくて、

でもずっとそのまま触っていてもらいたい感じ。

「目を逸らすのはずるいんじゃないか?」

俺は今の気持ちを率直に彼女にぶつけた。

ずっと見ているのが恥ずかしくなるのだ、と。

「ふふ、可愛いな」

そしてそのままオリビアの唇に目掛けて、

そっと俺の唇を重ね合わせた。心臓が飛び

出すのではないか、と言うくらい鼓動を

高鳴らせている。俺の気持ちは、もはや

はち切れんばかりだ。

「オリビア、好きなんだ。最初に会った時から」

震える声で囁く様に言った。

「そうか・・・」

しばらく困った様子のオリビアだったが、

照れ臭そうにこう言った。

「好きと言われたのは久方振りなんだが・・・」

一方俺は、先程から感じていた彼女の

綺麗な指先が、背中を走るとまるで電気が

流れたかのように甘い痺れに襲われる。

俺も彼女の背中を優しく、軽い羽のように

撫でてあげた。すると彼女は、一瞬だけ甘い

声を上げて、息を漏らした。

「私もあまり人に触られ慣れていないから、

優しくしてくれ・・・」


長く情熱的な昼が暮れ、静粛なる夜の帳が

下りていた。オリビアはまだ布団の中で

すやすやと寝息を立てている。寝起きで

身体が冷え切ってしまうので、俺は

オリジナルの「ホットドリンク」を

作っていた。ふと空を見上げて、星空を

眺めた。「ルプス村」は山の上なので、

満天の星空を望む事もできるが、天候が

悪い日も多く、毎日というわけには

いかない。しかし「セクメーア砂漠」

では毎日燦然と輝く星空を臨む事が

できるし、流星が連なって空を翔る

天体ショーも開催している。本当に

ロマンチックな場所だ。

「宵空なんか見上げて、どうしたんだ?」


オリビアが目を覚ましたようで、テントから

出てきた。俺はおはよう、と挨拶を

すると、彼女も挨拶を返してきた。

「まるで・・・君のようだな。この夜の空が」

確かに、俺の名前ノーチェスは闇という

意味がある。

「こんな話を知っているか?テオ・テスカトルと、

ナナ・テスカトリ」

炎王龍と呼ばれる古龍「テオ・テスカトル」は

赤きたてがみに赤き衣に守られし、

炎を司る伝説の龍。炎妃龍「ナナ・テスカトリ」は

青きたてがみに青き衣に守られし、

「テオ・テスカトル」の妃に当たるつがいだ。

「テオ・テスカトルは昼の化身で、

ナナ・テスカトリは夜の化身と

言われている。つまり、君はナナ・テスカトリに

通じる物があるとも言えるわけだが」

話がさっぱり見えなかったが、

結論としてオリビアは言った。

「彼女の蒼い炎は、夜天誘う魔性の炎。

『夜【よう】さりの蒼炎』と言われている」

俺は再び夜空を見上げた。

「確かに夜は暗く、本能的に忌むものだ。

それでも、君はあまりに星空の素敵な夜に

生まれたから、その日のことを忘れない

ために、君の両親がつけた名前なのだ。

自分の子供に忌まわしい名前をつける

親など居ない」

俺は手製の「ホットドリンク」を

オリビアに渡しながら尋ねた。自分の

名前が好きなのか否かを。

「ああ。・・・戦争で死んだ両親が、

私に残してくれた唯一の物だからな」

この人は確かに、俺より大きな物を

背負って生きている。だけど彼女の

内から感じていた力強い物は、前向きに

生きるという強い精神力だった。

俺は彼女に、強いんだね、と言った。

「私は強くは無い。全てを受け入れただけだ」

オリビアは「ホットドリンク」を

口にして、驚いた顔をしたのだ。

「ん・・・美味いな」

もう少しでご飯が出来るから、オアシスで

水浴びしてくるといい、と告げたが、

オリビアは断った。

「暗い中、一人で入るのは気が

進まないのだがな・・・」

と、恥ずかしげに彼女が言うと、

俺も気恥ずかしくなって言葉に詰まった。

気まずい空気が流れると、オリビアは

それらしい理由をつけて恥ずかしさを

ごまかす様に言った。

「そ、それに、折角だから君に背中を

流してもらいたいのだが・・・」

意外と子供っぽいオリビアがとても

愛おしく思えた。だから、料理が

出来るまでもう少し待つように

言った。今夜はオアシスで釣れた

「サシミウオ」を「レッドオイル」で

下味を付け焼いた物だ。仕上げに

「スパイスワーム」を乾燥させた

香辛料を少しだけ振り掛けた。

肉質の固い「アプケロス」の食事が

多くなりそうなので、体の事を

気遣ってあぶらっ気の少ない物を

食べて置きたかった。ちなみに、

濃い味に慣れてはいけないと思い、

味付けはあえて薄味だ。

「君の料理の腕は大した物だ。

料理人になれるんじゃないのか?」

料理はハンターの母から習った。

それに砂漠の寒い気候に「フラヒヤ地方」の

料理と相性がいいからだ。料理人は

大げさだよ、オリビィ。と言った。

しかしオリビアは「オリビィ」と

言う言葉を聞いたとたん、

飲んでいた「ホットドリンク」を

吹いた。

「な、なんだ。その気恥ずかしい

呼び方は・・・。ならば私も言うぞ、

ノチェ」

負けじとオリビィと言い返すと、

向こうもノチェ、ノチェ、と連続で

リズミカルに言い返してくる。

そんな光景がおかしくて、思わず笑った。

「おかしいな、ははははは」

俺はチェスとか、チェス坊と呼ばれた事は

あったが、ノチェは初めてで、

なんだか新鮮に感じた。


目的地に到着するまでの間は、ずっと

こんな調子だった。俺の今までの

人生の中では比較しようも無いくらい、

満ち足りていた。これが愛なのかと、

心の中で強く信じていた。しかし、

別れの時はあまりに唐突として

やってくるのだった。俺も巨大な

機械仕掛けの小さな歯車に過ぎないのだと。

地図通りの場所に到着したのは街を

出てから五日目の夜。前人未到の

伝説の地「ザナドゥ」があった。

だがそこは何かしらの文明があったで

あろう、砂に埋もれた古代遺跡だったのだ。

3-4
http://blog.daletto.com/article/qdamfve700/20090114.html
(更新 2009年4月11日 (土) 19時47分) / 2 コメント


コメント

2009年1月11日 (日) 07時32分
masa03

あむぅ・・・照 ><

読んでて恥ずかしくなる程の LOVE っすねぇ^^;

でもぉ 愛のスパイスもぉ いい調味料ですよぉ~~。


2009年1月13日 (火) 21時46分
tha-garl

暴走気味ですかね・・・w
でも、書き手もそーとー恥ずかしい
思いなんですよw

ただ、これも彼の青春の一頁
なんですねぇ。うんうん。



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