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小説「モンスターハンター【目覚めの章】」・第十話
2008年5月24日 (土)
「なんと…」 全員が叫喚した。 本当に…そんなものが… 「今現在判明している謎のモンスター『クシャルダオラ、テオ・テスカトル、オオナズチ、キリン、アカムトルム、ウカムルバス、ラオシャンロン、ミラボレアス、その赤き種、祖の龍』が、一度に現れるということじゃ」 それは、「世界の終わり」以外の何物でもなかった。 存在さえ「災厄」とされる個体なのだから尚更である。 「『再生と粛正』…これは人間が滅び、新しい生態系が築かれる、ということだろう」 「なぜ、こんな物を王立古生物図書が持っているんじゃ…」 「それに、あのアカムトルム…」 「伝説の黒龍さえも…」 室内にざわめきが起こる。 全生物をも崩す事実を目前に、長たちは徐々に恐怖に包まれていった。 「また、この記述の後に、実に興味深い文があってのう… 『古の森への道を切り開き民族の歌声は 時に自身へも災害をもたらし生物を抹消させる 普段は眠っている強大な力もその唄を聞くやいなや いずれ目を覚ますであろう そして「力」が向かいたるは「人々」の集落 怒りと復讐に満ちたその心は、誰止めることが出来ぬ』 というものじゃ…」 民族の歌声…ドンドルマのアリーナの歌姫のことだろうか。 それと、何が関係しているのか。 「――以前、アリーナにきた赤衣の男が、歌姫に妙な唄を唄わせておったのじゃが…」 静かな空間に、マスターの声だけが轟く。
「それこそ、『解禁の唄』だと思うのじゃ」
クシャルダオラが視界を遮られて思いっきり地面に落ちる。 「グォォォ!!」 よし、これで救助ができる。 敵が動けなくなったことを確認したディンゴは、一目散にミラの所へ向かった。 早く助けなければ、命が危ない。 突進を受けたために、「レイアシリーズ」の防具が砕かれている… 骨が折られているかもしれない。かなりの重症だ。 インナーに隠れて傷は見えなかったが、何故か解った気がした。 「おい!!大丈夫か!?」 「…うぅっ…!!」 痛そうに、そして辛そうにミラが唸る。 意識が朦朧としている。全身が痛い。 「あ、あたし…あたしがっ…死ぬわけ…ないでしょっ…」 良かった。まだ喋れるだけの気力は残っている。 この状況からして…逃げさせるのが妥当だ。 他のハンターはクシャルダオラが落ちたときに指示をしたため、もう退散している。 あとは、ミラだけだ。 「ホラ、おぶされ」 「…わかった」 少し赤面しながらも、身を任せるミラ。 情けないわ…あたし。 助けるどころか、助けられちゃってるじゃない…
「ここなら安心かもな」 と言われて、ミラはその場に降ろされた。 どうやらここは、撃龍槍の手前のエリアらしい。ここには、クシャルダオラは来ない。 「ここで待っててくれ。俺がすぐにケリつけるからよ」 「え?ちょっと待っ――」 ディンゴは全く聞こえてない様子だった。 ミラを降ろしたのを確認すると、そそくさと走って行ってしまった。 あんたじゃ無理、と言おうとしたのだが…。 その時、脳裏に先ほどのディンゴの戦いが浮かんだ。 まさか、ディンゴの素質があれほどのものだったとは。 「期待してる…けど、無茶して…死なないでよ…」
ディンゴが着いたころには、ガンナー達が苦戦しながらも奮闘している、という状況だった。 バージルのような凄腕もいたが、それでも、鋼の甲殻を抉ることは出来ない。 …でもよくクシャルダオラの周りを見ると、日本刀のような刃がちらつき、それと同時に甲殻が吹き飛ばされている。 あれは…太刀使いか? 「接近戦は任せろ!!お前は退け!!」 これ以上、死人を出すことは許されなかった。 近接ハンターはモンスターに近づくがために、それなりに危険が伴う。 ディンゴは心配で仕方なかった。 だが、しばらくして帰って来た言葉は…
「…お前のような新米に、街など任せられるか」
ディンゴは少し怒りを覚えたが、今はそんな感情を露わにしている場合ではない。 一旦クシャルダオラと距離を置いた時そのハンターに近づき、ディンゴも剣を構えた。 そのハンターをよく見ると、かなり特徴的な者だと分った。 (あれ…なんでコイツ太刀を片手で持ってんだ?) 太刀は大剣よりかなり軽量化しているものの、重量はある。 それをこの者は肩に乗せ、軽々と振り回しているのだ。 (普通太刀は両手で使うものだけど、片手で使う理由がわかんねー) その瞬間、ディンゴは驚愕した。 太刀を片手で使っているのも驚いたのだが…
片腕が、無い。
ハンターにとって腕とは無くてはならないもの。 それなのにも関わらず、1本でハンターをやっているなんて… しかも、強かった。 確実にクシャルダオラの鱗を刻み、甲殻を剥ぐ。 華麗なるその動きは、「剣の舞い」のようだ。 強さはダイをも凌駕するかもしれない。 「あんたの本当の実力は知んねぇけど…死ぬなよ」 「…調子に乗るな。小僧」 二人は剣を一層煌かせ、クシャルダオラに向けた。 ただ、街を、人を、守るために。
西シュレイドにある、王立古生物書院。 夜中なのにも関わらず、その中で一つ、影が蠢いていた。 マスターが会議に話した、「赤衣の男」その者だ。 「あの書物が無い…」 男は愚痴をこぼすようにそう呟いた。 ばれたか…かなり段階が早い。 さすがは、ギルドマスターというところか。 これは、「あの方」が直々に命令された計画。 失敗するわけにはいかないのに。 十数年前のミナガルデで起きた事件の主催者。 「竜撃砲」が初めて世間に出た事件の主催者だ。 やっと、役に立てると思ったのだが。 「…フフ、まあいい。もう準備は整っている」 あれが無くとも、解禁の方法はすべて頭に入っている。 (今、第一段階。クシャルダオラ…古の嵐を呼ぶ者) せいぜい世界を守るために頑張りたまえよ、ハンター諸君。
――巨大な力の突然発生はもう始まっているのだから――
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キャラクターファイル0.5 「???」 ・本名知らず ・出身知らず ・太刀使い ・迎撃戦に突然現れた、凄腕ハンター。壮絶な過去があり、冷静沈着 、人を見下す態度になったようで、腕もその時無くなったと思われ る。太刀を使っているとは思えない力強さが特徴。
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(更新 2008年5月25日 (日) 10時45分) / 5 コメント
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