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taiseiさん
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taiseiさんの日記
小説「モンスターハンター【解禁の章】」・第九話
2008年6月5日 (木)



アカムトルムの居座っている場所に、一つのパーティが到着していた。
4人で、みなベテランのハンター。
大長老が言っていた者達だろう。
「あれがアカムトルム…」
こちらには気付いていなかったが、後ろから見るその姿は凶暴だった。
前方に突き出す巨大な顎とその牙。
踏み出すたびに大地を削る爪。
背中に生える鋭利で長い棘。
とんでもなく太い尻尾。
後ろからでも感じる威圧感、それがハンター達の攻撃の手を止める原因であった。
未だに体が動かない。
でもそのパーティは、真横にも強裂な気配を感じ取っていた。
まだ姿は見えないが、確実に近付いてきている。
「コイツ以外に、まだ「催眠」にかかったモンスターがいるのか?」
一人がそんな事を口に出す。
アカムトルムの殺気はもちろん初めて感じているが、真横の者からも初めて感じる何かがある。
殺気とか気配とか、禍々しい言い方では表せない。
…むしろ、神々しいとも言える。
まあ、強力な個体であることは間違いない。
そんなものを、一気に2体も相手にするって言うのか…?
「おい、あれを見ろ…『気配』の答えだ」
一人がアカムトルムに気付かれないよう、小声で仲間に告げる。
その顔は、何かに見惚れているようだ。
全員は一斉に指さす方向を向いた。

そこには、二体で溶岩の中にいる「幻獣」だった。

神々しく光る体に超高熱の溶岩を浴びながら依然と歩いている。
その姿はまるで入浴しているようだった。
人間なら、入った瞬間骨まで溶かされる液体なのにも関わらず。
周りに纏う雷が、歩くとともに空中と地面に発される。
「『キリン』だと…なぜ、こんなところに…」
幻獣キリン。
その角に有る力を使い、雷を大地に落とす事が出来る幻のモンスター。
その輝く容姿は人間の心を魅了する。
だが、内面にある狂暴な一面は計り知れないほど強い。

「こんなところで戦えるのか…?」

しかも、アカムトルムを入れれば3体となる。
この状況で戦うことはあまりにも無謀だ。
だがキリンはハンターの姿を見てしまった。
雷を一層光らせて威嚇行動をしている…もう戦いの鐘は鳴っているいるのだ。
「でも、やらないわけにはいかないしな…行くぞ!」
その言葉に共鳴したように全員が恐怖を振りはらい、武器を構えた。
大剣、ハンマー、ガンランス、ライトボウガン。
全てが動きの傲慢な物だが、役割分担をきっちりとすれば勝機はあるはずだ。
まずはキリン。今気付いていないアカムトルムは後回しだ。
「食らいやがれ!!」
ハンマー使いはその《退魔の武器》である「ブレス・コア」を、今溶岩から上がったと思われるキリン一体に向かって振った。
頭には当たらなかったが、胴体に直撃し、キリンは怯んだ。
だが、当たり前のように弾かれる。
特殊な力を持つ「ブレス・コア」は、当たった者の体を「内面」から破壊する事が出来る。
でも弾かれてしまえば、その効力はかなり落ちるものだ。
「それにしてもデカイな…」
さっきまで遠かったので分らなかったが、2体ともかなり大きい個体だ。
もしかしたら、キングサイズにまで成るかも知れない。
その大きさでハンマーが頭に当たらない…
となると、この武器では少しずつダメージを与えていくしかないのだろう。
「これなら当たるだろう!!」
大剣使いが振り下ろしを頭に向かって放つ。
その剣「封龍剣【滅一門】」も、当たった内面にダメージを与え、恐るべきリーチでどんな戦いをも切り抜く。
予想通り頭に当たり、柔らかい部分の皮膚を裂いた。
顎の骨もかなりヒビが入ったようだ。

クオォォォォォォン…

大剣使いの真横まで迫っていた"もう一体"のキリンが雷を放とうとしている。
体を反らせた瞬間、上空の雲が大きな音を立てて光る。
気が付いたら、その体に落雷が落ちていた。
「ぐがぁぁぁぁっ!!」
衝撃で吹っ飛ぶ大剣使いの体。
幸い、雷の耐性が高い「グラビドSシリーズ」を纏っていたために内臓を片っ端から焼かれるという事態は避けられたが、それにしてもかなりの威力だ。
少しだが、その甲殻が剥ぎ飛んでいる。
「これで止まれッ!!」
ライトボウガン使いが「麻痺弾Lv2」をキリンの体に撃ち込む。
直線的に放たれたそれは、硬いキリンの皮を貫いて毒を入れた。
それも5発。でも、キリンはその歩みを止めることを知らない。
「クソッ、なんて体してやがる!!」
この体はすべての毒を浄化するのか?と疑問を抱いてもしかたない耐性。
ガンナーの持つ「ラストニードル」が麻痺属性を高めているのだが…
それも、このモンスターが驚異とされる原因の一つだ。
このパーティも一回はキリンのことを聞いたことがあるが、ここまでのものとは。
(喉を突っつけば、終わりだろうよ!!)
ガンランス使いが懐に飛び込んで、急所を狙った。
「ガンチャリオット」…切れ味が鋭く、未だに解析されていない「龍」の属性を纏う強力なガンランス。
これならば、比較的硬くない首の皮なら貫けるはず。
ガンランスは、その重い槍身と盾でいつも傲慢に動いているように見えるが、その重さを駆使して速さを付ければモンスターの急所を狙い、突撃することができる。
この男も匠に扱い、すでに首元まで槍を突き出していた。
これが入ればコイツは動けなくなるし、当たり所が良ければ討伐できるかもしれない。
みんな手こずっているけど、かなり簡単だな、と思うガンランス使い。
だが。


グゴオオオオオオオオオオオオォォォォォ!!!!!


気が付かれてしまった。
覇王に。アカムトルムに。
咆哮を不意に放たれ、全てのハンターが硬直する。
どんなに耳が悪かろうと、この振動、この緊張を感じればこうなってしまう。
生物の本能的な反応が表面に現れてしまった。
(やばいッ!!)
こんな状態のハンター達を、凶暴な獣が見逃す訳もなかった。
アカムトルムは咆哮をしているので攻撃はまだ出来なかったが、キリンが居る。
2体の幻獣が大剣使いとライトボウガン使いに突進する。
そして、雷を纏いしその角は、二人の鎧と砕き心臓を貫いた――
「…!!」
残った二人は声を失っていた。
自分が動けない状態で、軽々と仲間が命を奪われてゆく。
今まで一緒に過ごしてきたハンターが、もう死んでいる。
叫びそうになった。悲しみと、恐怖で。
次は自分だ。
キリンは刺さったハンターを振りほどこうと角を振っている。
まだ襲われるまで時間はあるが、後ろからは大きな地響きがする。
見なくても解る。その時感じたのは「死」そのものだったのかもしれない。
(う、うおぉぉぉ!!)
動け!!動け!自分の体!!
背後からアカムトルムが突進してくる。
前方にはこちらを見ているキリンがいる。
絶対的な絶望を感じたその時。

「目を閉じろッ!!」

男の声が聞こえたかと思うと、二人は反射的に目を瞑っていた。
閉じていても解る、その強烈な光。
目の前に一つの閃光玉が投げられたのだ。
アカムトルムは背中を反らして暴れている。
キリンは効いたわけではないが、その光に少し身を引いた。
もうその時には体が動くようになっていた。
「早く逃げろ!もうすぐ助っ人が来る」
そう叫んだ者はダイだった。
ミラが集会所でギルドナイツ…国の軍隊に襲われる前に狩り場に出向いていたのだ。
酒場で危険を察知したダイは、ミラに気付かれる前に採集クエストを受けて街から出たのだ。
今ではミラに知らせなかったことに後悔している。
でも、彼女ならあの状況を抜けられると、信じている。
――ダイが言った「助っ人」とは、もちろんディンゴ達のことだ。
頂上に着く前にディンゴ達の姿を見ていたのだ。
後ろに着いてきていることは分かっている。
「お、おいダイ!なにしてんだ!」
…噂をすれば。
まあ、丁度いい。アカムトルムも行動を奪われている。
攻撃するなら…今しかないだろう。
「そんな事を言っていないで、早くこっちに来い!戦うぞ!!」
その言葉を発した瞬間、ディンゴ達も一斉に武器を構える。
この武器、力でどうなるかは分らないが、絶対にアカムトルムだけは倒す!!
「…こっちは俺らに任せろ!お前らは後ろを頼む!」
キリンに向かって二人のハンターが飛び掛かる。
仲間が来て、勇気が湧いたか、怪物と戦う決心が付いたか。
「ああ、そっちは頼むぜ!行くぞみんな!」
二人のハンターの声に押されて、ディンゴ達もアカムトルムに向かって行った。


覇王は王座を守る決戦、ハンターは火山と人々を守る決戦だ。


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モンスターファイル1.0
「キリン」
・古龍種 キリン
・最も謎に包まれている古龍種の一つ。
 雄雌の区別も判別されておらず、また雷を落とせる理由、雷を纏え
 る理由など、生体事態も解明されていない。個体数も少なく、今古
 龍観測の研究対象になっている。

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(更新 2008年6月5日 (木) 21時08分) / 8 コメント


コメント

2008年6月5日 (木) 21時56分
K

毎日更新ですね~。すごいや。しかも中身がずっしり。
手に汗握って読んでます☆
戦いのシーンは緊張するなあ~。


2008年6月5日 (木) 23時23分
taisei

〓Kさん〓
コメントありです^^そしてお久しぶりでやんすw
おう!毎日書いたるぜ(´・ω・)!!
よし、もっと緊迫のシーンを入り組んで書いて、楽しみのある小説にしようっと!
次をお待ちくださいねッ!!


2008年6月5日 (木) 23時41分
おっしょさま

緊張が伝わってきまさぁ( ゚д゚ )
はっきりいってこれはピンチだ( ゚д゚ )オオ
さぁ、どう切り抜ける?(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル


2008年6月5日 (木) 23時43分
taisei

〓おっしょさま〓
コメントありがとうです^^
このバトルの緊張感は壮絶なものだったので、はっきり言うと過剰に書きましたw
でも、そちらの方が感情は伝わるんじゃないかと^^
次回、ディンゴとアカムトルムがその刃を交えることになるっ!!


2008年6月6日 (金) 01時33分
みぞれ

キリン?!ええっ(゚ー゚;A
さらにアカムΣ( ̄□ ̄;)!!
これは、かなり緊迫した状況だねっ!(汗汗
どうなるのぉ~><


2008年6月6日 (金) 16時36分
taisei

〓みぞれさん〓
コメントありがとうです^^
そう、貴女の好きなキリンですよぉ~(何
これからは熱戦ですよ(´・ω・)!!
アカムトルムを背に任せたハンター二人はどうなるのでしょうか…
早々と続き書きます(´A`)


2008年6月6日 (金) 19時27分
イヴ

かなりピンチな状況ですね・・・

私がその場に居合わせたら・・・
間違いなく逃げますw


2008年6月6日 (金) 23時32分
taisei

〓イヴさん〓
コメントありです^^
復帰おめでとうございますw

ピンチな状況はここからどんどん出てきますよ(´・ω・)
リアルでこんな怪物が出てきたら俺だって肝をつぶして逃げますよw

古龍がいたら勇者が何十人と居たところで人類は根絶やしになること間違いナシw



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