|
2008年12月31日 (水)
Quest for Xanadu 3-2
Bewitching Moonlight in Deeply Midnight #2
翌朝。昨日のパブに顔を出し、オリビアさんの
様子を見に行った。すると店主が彼女から言伝を
預かっていたのだった。市場で買出しに行って
くるから来るように、と。彼女が寝てしまった
せいで、今後どのように砂漠を横断するのか
聞きそびれてしまったから、今日はその準備日と
なるのだろうと思った。その足で市場へ赴き、
オリビアさんらしき人物を探していると、衣服屋の
前で品定めをしている姿を見つけた。
「昨日はすまなかったな。感謝する。ちょうど君が
羽織る外套を探していたんだ。ちょっと被って見るか?」
オリビアさんが青黒い外套を中年の女性店主から
受け取ると、傍に来て俺の後ろに手を回すと
肩から掛けてくれた。
「フードも付いているんだ」
そう言って、俺に密着して背中に垂れ下がった
フードを頭に掛けてくれた。
「女将、どう思う?」
いいと思うよ、と女将が言ってくれたので、
オリビアさんは有無を言わさず外套の代金を
支払った。
「昨日世話になった礼だ。受け取ってくれるな?」
ニンマリと得意げに笑みを浮かべ、俺に笑いかける
オリビアさん。俺はなんだか恥ずかしくなって、
お礼を言ったのだが小声になってしまった。
それからもオリビアさん持ちで、砂漠渡航に
関する品々を買ってもらった。主に
「ホットドリンク」と「クーラードリンク」の
素材だ。砂漠では需要が非常に高い「にが虫」と
「トウガラシ」、「氷結晶」は通常価格より
いくらか安い。しかしオリビアさんは大量の
素材を買い付けたようだが、そんなに必要なのかと
確認をした。すると昨日何も話していなかった事を
思い出したようで、お昼を食べながら今後の経路を
案内してもらう事となった。彼女の荷物を持って
付いていくと、また回復薬や保存食などを買い
足した。ちょうど昼時に差し掛かると、
「ジオ・ワンドレオ」の地元料理を食べることに
なり、オリビアさんに案内されるままにその
店に入った。地元でも人気店のようで、店内は
賑わいを見せている。空いている席に通されると、
オリビアさんはキョフテと呼ばれるこの地方の
ハンバーグの定食を注文した。肉が嫌いで
なければお勧めだ、と言われたので彼女と
同じ物を注文した。それから「セクメーア砂漠」を
渡る彼女のプランを聞いた。
出発は明日の日没後。星や月明かりを頼りに
夜中の「セクメーア砂漠」をラクダに乗り
ながら横断するのだ。昼間はオアシスなどで
テントを張り就寝する。そんな昼夜逆転の
移動日数は片道で約四日間。何故夜に移動
するのか尋ねたら、暑い砂漠を移動すると体力を
奪われて死んでしまう恐れがあるが、夜の移動
なら外気温が下がっても防寒具で補う事ができる。
更に夜ならモンスターとの遭遇に対して暗い
格好をしているから発見されにくいと言うのだ。
その為にさっき、蒼い外套を買ってくれたのか。
それに北国出身の俺にしてみれば、暑い所は
勘弁してもらいたかったが、防寒対策がばっちりの
「マフモフシリーズ」を持っているので、
夜の砂漠渡航にも都合が良かった。いつもとは
違ったお昼を平らげて、午後からはラクダ屋に
行きラクダを乗用に二頭、荷物運搬用に
一頭手配した。その日はラクダの乗り方に
四苦八苦した。北国出身の俺にしてみれば、
中近東の文化など触れるのすら初めてだ。
俺の乗るラクダの名はレオと言うそうだ。
名を呼びながら彼のご機嫌を取り取り、
四苦八苦しながらもその背を俺に
預けてくれた。久々の達成感に歓喜の声を
上げた時には既に日が暮れており、オリビアさんは
牧舎のベンチに寄りかかって眠ってしまっていた。
俺の大声で目が覚めたようで、辺りを見回しながら
「ああ・・・、寝てしまったのか」
俺は声を上げて笑ったが、オリビアさんは何の
恥じらいもなくこう答えた。
「よく眠てしまったな。普段は熟睡しないから、
ついつい気持ちよく寝てしまった」
思わず拍子抜けしてしまったが、オリビアさんの
口元が綻びた。
「それも君のお陰かもしれないな。感謝する、
ありがとう」
ただ純粋に見とれてしまった。次に発する
言葉が出て来ないほど、彼女の笑顔に惹き
つけられてしまった。
「なんだ、そんなにおかしかったか?」
彼女が立ち上がり、俺のところへ向かって
歩いてきた。俺は平生を装って、なんでも
ないと告げる。
「そろそろ夕飯にしよう。よく寝たらお腹が
空いた」
オリビアさんはラクダの手綱を握り、そのまま
牧舎の中へ誘導された。
すっかり日の暮れた「ジオ・ワンドレオ」。
オリビアさんはお酒が弱いくせにこの間とは
別のパブに入ると、ビールを注文する。出発は
明日の日没後だが、彼女がグラスを取るのは
些か心配があった。食事が進むにつれて、
気がよくなったオリビアさんは、自分の身の
上話を始めた。故郷に残してきた妹の話だ。
彼女は地元の騎士団長の護衛をやっており、
銃士として優秀な存在なのだという。
その昔、街を火竜「リオレウス」に襲われた時、
騎士団長とオリビアさん、妹さんが活躍した
話は討伐時間が短く、街に出た被害が
最小だったと、歴史に残る快挙だったそうだ。
ハンターズギルドはどうしたとか、出動した
ハンターたちの事を聞く前に、俺は彼女の
腕前にただただ感心するばかりだった。
そして夕食を食べ終え、オリビアさんと
ほろ酔い気分で店を出た。
「それじゃあ、今夜はここでお別れだ。
明日の夕方、ラクダ屋でな」
オリビアさんは小さく手を振ると、俺も手を振り、
良い気分に任せて冗談を言った。今日の
デートは楽しかったね、と。
「ああ、私も楽しかったぞ」
単なるリップサービスだと思ったが、彼女の
笑顔がそれを忘れさせ、幸せを感じさせてくれた。
「おやすみ」
オリビアさんは背を向けて、街の闇の中へと
消えていく。俺はその姿が見えなくなるまで
見送った。
翌朝。酔いに任せて寝ていたら宿の女将に
叩き起こされ、すっかり正午を回っていた。
チェックアウトの時間はとっくに過ぎており、
延滞料金を取る取らないの話にもなったが、
幸い俺が女将の「お気に入り」だったらしく、
それはうまく免れた。しかし、お気に入りって・・・。
ただし、お詫びの意味を込めてランチを食べていく
という条件をつけられてしまったが、こればかりは
致し方なかった。そうこうしているうちに
ちょうど約束の時間となり、俺はラクダ屋の前に
やってきた。ラクダ屋の主人にオリビアさんが
来たかどうか尋ねたが、まだ来ていないという。
さっそくラクダを牧舎から三頭引いてもらい、
荷物をまとめていると主人がこそこそと傍に
寄ってきた。
「なぁ、あんちゃん。ハンターだろ?」
俺はそうだ、と頷いた。
「悪いことは言わねぇ。荷物まとめて、
今すぐこの街から離れたほうがいいぜ」
なぜそんなことを言うのか分からなかったので、
理由を聞いてみた。 「まだ若いあんちゃんだから、おたくさんの
将来のために忠告してやるよ。あのオリビアとか
言う女剣士。あいつはすこぶる評判が悪いんだ。
何があったかは知らねえが、あいつが来てから
地元のハンターたちはあいつを眼の敵にして
やがるんだ」
オリビアさんを悪く言う主人に言い返した。
ここのギルドの古い仕来りに腹が立ったんじゃ
ないか、と。
「今のギルド長になってから、やり方が
えげつなくなったけどな。だがよ、砂漠だから
生半可な奴が来るところじゃねえ。それで
ここはうまくいっているんだ。郷に入らば
郷に従え、だ」
主人は言うだけ言うと、また番台に戻って
しまった。さっきの話は気になるといえば
気になるが、それよりもここのギルドの体質を
どうにかすべきだと思っていた。もちろん
こんな下らないシステムは、すで体制が既に
淀んでいる。来るべき時に、新しい風で
全て吹き飛んでしまえばいい、と。
それから直ぐにオリビアさんもやってきて、
出発の準備を整えた。
間もなく日が沈む。冷たく乾いた風が通り過ぎる
「ジオ・ワンドレオ」の外れにやってきた。
オリビアさんが振り返り俺と目を合わせると、
いつでも準備は良い、と力強くうなずき返した。
ラクダのレオのひづめが砂を蹴り、砂漠の海へと
乗り出した。
この時は「セクメーアの女神」の加護など
単なる迷信だと思っていた。だがこの先に
降りかかる生命の危機に、その迷信を信じざるを
得なくなるなど知る由もなかった。
検索タグ: MHF 二次創作小説 ノーチェス たがーる 多賀基宏 Noches・A・Verano オリビア
(更新 2008年12月31日 (水) 17時19分) / |
|
2008年12月24日 (水)
Quest for Xanadu 3-1
Bewitching Moonlight in Deeply Midnight #1
深遠なる夜の妖艶なる月光。雪山に
囲まれた故郷もいいが、俺は砂漠の
夜もとても好きだ。温暖期の眠れ
ない夜とは比べようも無く涼しくて、
月が妖しくも綺麗で、星がキラキラと
輝いている。でもそこは死の海とも
呼ばれ、生命の繁殖を許さず、
立ち入る者の命も容易く奪うような
危険なところだ。まさか俺も砂漠に
この身を捧げる事になるとは、
街に入る前は予想だにしなかった。
そんな俺は、砂漠の街で一人の宝探しを
専門に行うハンターと出会う事となる。
冒険も佳境に入ってくると、色恋沙汰の
話も聞きたくなるものだろう?
「そうだねぇ。あんたってば、てんで
モテないからねぇ」
なんだよ、やきもちか?
「別にぃ。あたしの前で他の女の話を
するあんたの神経がよく分からないって
言いたいのよ」
悪かったよ。でも俺はお前がこの世で
最高の女だってのは、よく分かってる。
「はいはい。その臭い口説き文句は
聞き飽きた」
まぁ、この前の「ラティオ火山」での
話はうちの猟団繋がりだった。今回も
猟団繋がりの話だったりするんだが。
「へぇ。今度は初めから教えてよね。
前の話みたいに引き伸ばされたら、話の
途中で寝てやるんだから」
この前も途中寝てたくせに、よく言うぜ。
この口か?
「痛い痛い、両手で引っ張んないでよ~」
でも、その人のせいで俺は救われたし、
死にかけもしたけどな。それに
母さんも・・・救われたのかな。
寒冷期の終わりが近づき、寒さが一段と
厳しさを増す頃。俺は調合して貰った
「黒星」を実家に送った後、直ぐに
「ドンドルマ」を発った。
「セクメーア砂漠」の「ザナドゥ」伝説の
事で、頭の中が一杯になっていたのだ。
進路を一路西へ。馬車を乗り継ぎ、
街から街へと渡り歩き、二ヶ月掛けて
砂漠の辺境の街、「ジオ・ワンドレオ」に
辿り着いた。その頃は季節も寒冷期
から繁殖期へと移り始めた頃だった。
地元より南に居たから、徐々に暖かく
なっていくのがよく分かった。変わった
ことといえば、前の戦いで使った防具、
赤い「ザザミシリーズ」が寿命と
なり、「ン・ガンガ」の街で処分
してしまったこと。だが逆に
「ラティオ火山」名物の「上鎧玉」で
「マフモフシリーズ」と
「ギアノスシリーズ」を上限一杯まで
強化してもらった。
「ジオ・ワンドレオ」は交易盛んな
街だ。東西を結ぶルートとなっており、
多様文化が入り混じり、そこには
独特の雰囲気があった。街の外周には
巨大な防壁が設けられており、各所の
橋を渡って中へ入ることができる。
俺が入ったのは市場区画で、露店に
広げられた武具を始め、日用品、
食料品、飲食店が所狭しと立ち
並んでいる。人の往来も半端では
ない。人が何処そこの路地から流れて
くるのだ。男はヒゲを生やしている
者が多く、女は頭から顔を覆う布を
被っている。俺はそんな人混みの
流れにうまく乗りながら、ハンターズ
ギルドを目指した。
ハンターズギルドは街の中心部、
通称「イカダ」と呼ばれる、人工の
高台に作られた市街地にある。延々と
続く階段を登りながら、案内板を頼りに
そこを目指した。路地を一つ入った
奥の酒場がギルドだったが、ちょっと
暗い雰囲気で、近寄りがたい感じが
した。まずはカウンターへ行き、
受付嬢に「ザナドゥ」の事を聞いて
みた。ここの受付嬢はけばけばしい
メイクに、耳にはピアスを三つも付け、
たぶん彼女のセンスだと思うが、
上着は伸びて、ところどころ穴が
開いており、下は足元が露になる程の
短いショートパンツを履いていた。
「なんかようかい?ルーキーさん」
物凄く鋭い眼光で睨まれた。周りに
居る柄の悪いハンターたちはげら
げらと笑い出した。俺はルーキー
じゃない、と言い返したが、さっき
より笑いが酷くなっていた。なん
なんだ、この感じの悪いギルドは!
「洗礼を受けていない奴は、
皆ここではルーキーなのさ」
彼女がそう言ったが、話の意図が
まったく見えなかった。
「洗礼を受けるには、まずギルドに
五千ゼニー納めな。あたしが取って
置きの洗礼を用意してやるよ」
な・・・!俺は言葉を失った。周りの
ハンターたちはまた笑い出した。
なんだか腹立たしくて、居ても
立っても居られなくなった。
「嫉妬深いセクメーアの女神さんの
洗礼を受けない奴は、その加護を
受けられないんだぜ」
と、ハンターの一人が俺にそう
言ってきた。頭がふつふつと
煮えくり返り、俺は背中の鉄鉈
「クロームデスレイザー」に手を
掛けようとした時だった。
「なんだ、こんなところに居たのか」
俺の右手を強い力で押さえつけた
のは、長身の女ハンターだった。
「あれほどうろちょろするなと
言っただろう、馬鹿者」
背中に秘花「ドスビスカス」より
成る麗槍「ノーブルフレグランス」を
背負い、紫色の髪をドレッドにし、
後頭部で尻尾状に纏めている美しい
女性だった。きりっとした顔が印象的
だが、それよりもその瞳に宿る不思議な
力が、美しさを引き立てているに違いない。
「往くぞ」
俺はそのまま手を引っ張られて
酒場から離れてしまった。俺は
何をするんだ、と言ったが、
そのまま腕を握られたまま、自分に
付いて来る様に言われた。それから
しばらく歩き、裏路地の物陰に
連れ込まれた。
「頭は冷えたか、少年よ」
その人を正面から捕らえると、
胴と腕と脚を「レイアSシリーズ」で
身を包み、腰には「バトルUフォールド」の
帷子を下げていた。耳には黒光り
する「ブラックピアス」を身に着けている。
「少年よ、良く聞け。この街のギルドは
特別な儀式めいた物を行っている。
ここのギルドの仕来りは儀式を
行わない者はモンスターを狩りに
出かけられないのだ」
つまり、あの五千ゼニーという金額は
その儀式料金という事なのか、俺は
そう言った。
「なに、大したことはない。儀式って
言うのは、ここで初めて狩をする
者を一緒に連れて行くだけのことだ。
それで儀式は完了。五千ゼニーって
言うのは、そのハンターに支払われる
手間賃さ」
俺は下らない、と吐き捨てた。
要は「ギルド」非公認の金品徴収
システムだ。洗礼と称して新参者に
金を払わせ、古参が常に潤う
仕組みと成っている。なんとも
上手く出来た物だ。例え新参者が
依頼を受注しても、それに同行して
くれる者はいない。あそこのギルドの
雰囲気が悪いのはそれで察しが付いた。
「そこでお前に頼みがある」
彼女は顔を近づけ、俺の耳元で
そっと囁いた。
「私と一緒にザナドゥを目指して
くれないか?」
その時、いい香りがした。それは
上品な甘さを含んだ危険な果実。
唖然とする俺に、彼女は続け様に
こう言った。
「信用できないのなら、無理に
とは言わない。最悪、私一人で
ザナドゥを目指すだけだ」
我に返ると、俺は行く、と大声で
何度も叫んだ。
「分かったから、近くで大声を
出さないでくれ」
不快な顔をする彼女に謝ると、
思い出したかのように彼女は自分の
名前を名乗ったのだった。
「自己紹介がまだ済んでいなかったな。
私の名はオリビア・ニューマン・ジョンソン。
訳あって、ザナドゥを目指している者だ。
同行してくれる人間が見つかって、
嬉しく思う」
続いて俺は自分の名を名乗った。
「ヴェラーノ。どこかで聞いた事の
ある家名だな。ご両親の名前は?」
俺は父の名と母の名を告げた。
オリビアさんの中の辻褄が合致したようだ。
「ああ。高名な画家を父とし、伝説の
ハンターを母に持つのか。全く、良い
家に生まれたんだな」
父は行方不明、母が病気である事を
告げるべきか迷ったが、やはり初対面の
人間にそこまで話せる程打ち解けては
いなかったので、俺は頷く事しか
しなかった。
「それでは今後の事を打合せしたい
のだが、今晩食事でもしながら私の
プランを聞いてもらえないか?それに
今日からパートナーだ。お互いの事、
少しは知ったほうが良いと思うからな」
俺は彼女と日が沈んだ頃、「イカダ」の
中央の噴水広場で会う事を約束した。
でもこれって・・・列記とした
デートだよな・・・?年上の綺麗な
お姉さんとデートが出来るだなんて、
夢のようだ。俺はその日の夜が素敵な
夜になる事を大いに期待して、足取り
軽く滞在先を確保しに行くのだった。
デート待ち合わせの時間の四時間前、
俺は「イカダ」でも指折りの
レストランの事前調査をした。
その二時間前、俺は柄にもなく
貸衣装屋に入り、いわゆる
タキシードという物に袖を通した。
そして三十分前。通りにある
花屋に入り、両手に一杯のバラを
オーダーした。完璧な出で立ちと
無欠の段取りで今日のデートに
望むのだ。我が作戦ながら、あまりの
抜けの無さに思わず口元が緩んで
しまう。モンスターを狩る時も
段取りは重要だが、やはり女を
落とす時の段取りも似たような
物だ。男子たる者、常にハンターの
心得を忘れるべからず、だ。俺が
今回のデートでここまで気合を
入れようと思い立ったのは、
半年以上前のレイチェルの時
だった。もう少し気を遣って
良い服を着てやれば、良い
思い出になったのではないか、
と。ただ二人で街をブラブラ
して、まるで遊びだった。それが
今でも心のどこかで引っかかって
いるのだった。
待ち合わせの十五分前。
「ジオ・ワンドレオ」の高台
「イカダ」の中央噴水広場。
街に明かりが灯り、埃っぽい
街から、満天の星空を湛えた
大人の街へと変貌する。この
噴水広場は入り組んだ狭い町
並みに対して、広く設計されて
いる為、待ち合わせにはちょうど
良い場所のようで、俺の他にも
待ち合わせをしていると思われる
人たちが何人も見受けられた。
待ち合わせの十分前。ついに
オリビアさんが姿を現したの
だった。喜びのあまり、大きく
手を振りたかったが、そこは
大人らしく振舞おうと、あえて
抑え気味でオリビアさんの前に現れた。
「ノーチェス・・・。なに
やってるんだ?」
さすがに武器は置いてきたよう
だが、それでも俺のドレスの予想に
反して、さっきと同じ出で立ちの
オリビアさんだった。
「これから砂漠渡航の打合せを
しようというのに、その格好は
無いだろう」
と言い、いつもきりっとしている
オリビアさんの顔がぱぁっと破顔した。
「そ、それに何故魂の抜けた
ようなアホ面をしているんだ?」
両手一杯のバラを落とし、ついでに
俺の膝も落ちた。
「悪い事は言わないから、普通の
出で立ちで来てくれ。おかしくて
たまらん!」
それでも笑いがやまないオリビアさんが
ちょっと憎らしく思えた。だが、
彼女の笑った顔が見られたのは
収穫だった。一万五千ゼニー掛けた
甲斐があった。しかし、痛い出費には
変わりないのは言うまでもない
だろう・・・。
貸衣装屋に戻り、衣服を返却。
結局「メイル」のアンダーウェアと
「マフモフグリーブ」のみの格好で
食事に出かける事となった。入った
店もオリビアさんが前から決めた
パブに入る事となった。「ン・ガンガ」に
いた時のようなお姉さんがたくさん
いるところではなく、主に酒を
提供してくれる居酒屋だ。昼に
行った酒場ギルドほどではないが、
二十人は収容できるであろう
テーブル席と、十席のバーカウンター。
二階では素泊まりが出来ると
いう。オリビアはカウンターの
バーテンダーにビールと適当な
つまみを持ってくるよう注文
すると、テーブル席の空いて
いた奥のほうに座った。俺は
酒が飲めないと話したが、彼女は
こう言った。
「私も苦手だが、アルコールが
入れば少しは話が進みやすく
なるだろう。それとも君は
未成年か?」
他愛の無い話から、オリビアさんの
事がいくつか分かった。年齢は
二十代半ば。出身はミナガルデ
地方だという。それで合点が
いったのが、中近東の砂漠の
ど真ん中でミナガルデのパブを
再現した店に入った事だった。
そして彼女はトレジャーハンター
としてザナドゥを探しているの
だという。
「だが、私はザナドゥの在り処を
記した地図と鍵を手に入れたのだ」
ザナドゥ伝説の手がかりを追い
求め数々の謎に挑戦し、勝ち取って
きたのが地図と鍵だという。
しかし俺は、それが本物で信用
できるのか、と尋ねた。オリビアさんは
軽く笑っていった。
「ははは、今日会ったばかりの人間
だからな。君が信用で出来ないと
言えるのは仕方がない。だが、私が
君を選んだのには理由がある。まずは
背負っていたクロームデスレイザー。
それを扱える物は手足れだと踏んで
よかった。それにその澄んだ瞳。
前にも言われた事なかったか?人の
良さそうな感じが伺えて、持って
いる目的が純粋無垢を髣髴とさせる」
褒められ慣れしていないので、
なんだか気恥ずかしくなって思わず
顔がにやけてしまった。
「逆に言えば、悪い人に騙されやすい
側面もあるということだ。私みたいな
奴にな」
突然自分を卑しむ言い方をするので、
そんな事はない、と大げさに言った。
「ふふふ、何故なのか説明
できるかな?」
説明する、しない以前に、
この人なら大丈夫だ、と言う感じが
する。と言った。しかしオリビアさんは
更に意地悪く言うのだ。
「ははは、君はこれ以上ない
程のお人よしだな」
手を叩いて大きく笑い、ビールの
ジョッキを掴んで一口飲むと、
続けてこう言うのだった。
「だから、君は信用たる人間だと
確信に変わった。そろそろ、私が
ザナドゥへ目指す理由を話しても
いい頃だろう」
トレジャーハンターになろうと
したきっかけは、子供の頃から
だと言う。ミナガルデ出身で、
かの伝説的トレジャーハンター
I・ショーンズ博士のひ孫に当たる
のが彼女だった。実際にショーンズ
博士が亡くなった後に彼女は生を
受けたのだが、少女の頃にそう祖父の
残した最後の謎を解き明かし、
ザナドゥへの地図を手に入れたの
だった。それから十余年の月日が
流れ、ショーンズ博士が最後に
成し得なかったザナドゥ伝説の
解明が自分の使命だと言うのだ。
そして手にした鍵は、地図の裏に
書かれた「明日への扉」と呼ばれる
宝物庫を守る最後の扉の鍵が
それなのだという。鍵を守って
いた一族のところへ出向き、
渡して貰えるように頼んだが、
一族の貧困解消の為に国に売り
渡してしまったそうで、それを
手に入れる為にミナガルデ博物館の
地下機密保管庫まで潜入し
「拝借」してきたと言う。オリビア
さんがそこまでするのは、おとぎ
話レベルにまで落ち込んで
しまったショーンズ家復興と、
歴史の解明が目的だと言うの
だった。だから、この話が嘘なら
それでも構わない。それは自分が
納得するまで突き詰めて死ねる
からだ、と言うのだった。
俺も「ショーンズ博士の冒険」など、
過去の実話に脚色のエッセンスを
加えた出版物を目にした事が
あったが、子供心に火を灯された
のは間違いなかった。本を
読破した翌日、ショーンズ博士に
感化されその気になり、故郷の
村の畑を、立った大人がすっぽり
納まる位掘り起こした事があったが、
結局何も出てこず、母にこっ酷く
しかられた思い出があった。
それだけ子供たちを虜にする
ショーンズ博士だった。ザナドゥ
探索を本にする時には、是非とも
俺の名前も載せてるように
お願いした。オリビアさんは
笑っていたが、俺が参加する事に
対して本当に嬉しかったようで、
ビールをもう一杯持ってくる
ようにバーテンダーに注文した。
「本気だって言うのが伝わって
嬉しいし、私もあなたから信頼が
得られた。この感じが大事なんだ」
俺もにこやかなオリビアさんの
顔が見れてとても嬉しかった事も
そうだが、直情的に信頼できる、
と言われる事の方が何より嬉し
かった。そして俺もザナドゥへ
目指す目的をオリビアさんに
話そうとしたが、既に酔いが
回っていたようで、そのまま
テーブルの上に突っ伏して
寝てしまったのだった。何日間
俺のようなパートナーが現れるのを
待っていたのかは分からな
かったが、それでも信頼できる
パートナーが見つかった事に
対して安堵したのだろう。彼女の
決意が本物だったということを
知るとともに、少しでも協力して
あげたいと決心した。
梃子でも起きないオリビアさんを
パブの二階に連れて行ってあげた。
寝ている以上、彼女がどこに
宿をとっているのか分から
なかったからだ。店主の話だと、
この店はミナガルデ出身者に
とって見れば故郷にいることを
思い出すのだそうだ。だから、
酒を飲みながらこのように寝て
しまうのは、緊張が酒によって
解きほぐされてしまうのだとか。
ただ何もかも前金制だったので、
オリビアさんに成り代わって俺が
宿代を支払った。生真面目が鎧を
着て歩いているような女性だったが、
その寝顔は無防備な子供のよう
だった。大人の女性の一面を
見せつつも、このような可愛げが
ある一面を見せられると、こちらも
意識せずにはいられなくなって
しまう。二階は屋根裏を泊まれ
るように改装した作りだった。
両端に八部屋の扉があり、一番
右奥を使うように言われ、その扉を
開けて部屋に入った。簡素な
タンスとベッド、そして机が
置いてあるだけの本当に小さな
部屋だった。上半身の鎧だけ
脱がせると、鎧下着から無防備な
女性の隠し持った凶器を目にする
事にある。鎧に隠されていた
大きな乳房だった。思わず固唾を
呑んで見入ってしまったが、
ここで鎧下着をひん剥くのは
たやすい事だが、それは流石に
まずい。ここでオリビアさんが
抱きついてくればそれなりの
展開になるのだろうが、
そういうのはポルノ雑誌だけの
話だ。俺は彼女の信頼を守り
たかった。ベッドに寝かし
つけ布団を掛けてあげると、
俺はドアに手を掛け部屋を
後にしようとした。
「ありがと・・・」
彼女がそっとつぶやいた。
検索タグ: 二次創作小説 ノーチェス たがーる 多賀基宏 Noches・A・Verano オリビアMHF
(更新 2008年12月24日 (水) 21時57分) / |
|
2008年12月17日 (水)
Quest for Xanadu 2-5
Black Star #5
「バサルコア」ともようやく二人きりとなった。
俺は「回復薬」を飲んで自分に気合を入れ直すと、
奴の足元に駆けて行った。同時に向こうも走って
くるので、その正面から脱し突進をやり過ごす。
直ぐに背後を取って、懐に潜り込むと抜刀斬りを
した。そのまま前転をして一旦腹の外に出ると、
向きを直して正面から切り込みに掛かる。
「バサルコア」は切られた尻尾を振るって俺を
一掃したつもりになっていたが、全く違う
ところにいたので俺は力を溜めて、その腹に
鉈を一気に振り下ろした。鉈が食い込んで
後退する「バサルコア」。俺は武器を構えた
まま、歩いて近づいた。すると奴は噛み付き
攻撃で応戦してくる。しかし咄嗟の攻撃にも
ガードで対処し、前転で一気に距離を詰めると、
腹の下で斬り上げ攻撃をし、連携でそのまま
縦斬り攻撃で太刀筋を往復させた。その間
「バサルコア」は、羽を広げて火炎ガスを
出す仕草をとったが、俺はそのまま前転を
して腹から出ると、奴の火炎ガスを喰らう
ことなかった。なかなか当たらない攻撃に
業を煮やしたのか、今度は上体を仰け反って
胸を張り、大きく息を吸い込んだ。これは
チャンスと思い、奴の腹の下に入って、
大剣を後ろに構え力を溜めた。次の瞬間、
仰け反っていた身体を前に低く倒し、嗚咽と
共に赤い熱線を正面に吐いたのだった。
そして熱線放射の際の余剰熱が体外に
排出され、火炎ガスをまともに喰らう事と
なった。赤い「ザザミシリーズ」に身を
やつしていたが、あまりの熱量に表面が
融け始めている。いや、元々この極限環境に
置いた時点で「ザザミシリーズ」が熱で
だいぶ痛んでしまったようだった。もともと
お古の防具だから、この辺りが限界だった
のだ。しかしながら、マコさんを苦しめた
火炎ガスだったが、なんだかそこまで酷い
火傷を負ったようには感じなかった。
「ノーチェスくーーん!」
向こうのほうからマコさんと、後に続いて
ナグさんが走ってくる。マコさんの火傷が
直ったのだろうか。
「支給品持って来たですよぉ」
ナグさんが両手に抱えた「支給品用シビレ罠」を
運んできている。俺はマコさんの身体の調子を
尋ねたが、返って来た応えが、
「もう平気ですぅ」
との事だった。後でわかったことだが、
「クーラードリンク」である程度火炎ガスの
ダメージが軽減されていたようなのである。
あそこまでマコさんが苦しんだのは、憶測で
しかないが、単に暑いのが嫌だった可能性が
高い。
「そこを離れるですぅ」
走ってきたマコさんが手にしたのは
「眠りナイフ」だった。「ネムリ草」の
濃縮された麻酔成分が刃先に塗られている
「投げナイフ」だ。俺は一時的に「バサルコア」
から離れると、マコさんは露わとなった
胸部下の筋肉に向かって投げつけた。深々と
突き刺さった三本の「眠りナイフ」により、
奴はぐったりその場に倒れこむのだった。
「よし、俺に任せろ」
ナグさんは「バサルコア」の足元に
「シビレ罠」を起動スイッチを押さずに
仕掛け、鎚を構えたまま奴の頭に回った。
そして大剣同様にハンマーでも力を溜め、
頂点に達したと同時に鎚を振り上げ、
振り下ろすと同時に、奴の頭に特大の
インパクトを投下した。目は覚めたものの、
脳を揺さぶられたせいで意識がまともでは
ない。よろめきながら立ち上がろうとして
いるのだ。そんな隙に、俺たちは再び攻撃を
再開する。俺とマコさんは剥き出しになった
胸部に一斉の斬撃攻撃を加え、一気に
ダメージを与える。ナグさんはハンマーで
力を溜めながら、放出すると同時にハンマーの
柄を持って遠心力に任せた大回転をし、止めの
振り上げで奴の頭を突き上げる。俺はマコさん
に大剣が当たらないよう、細心の注意を払い
ながらやつの腹に斬撃を決める。奴が最後の
力を振り絞って立ち上がろうとしたのだが、
俺たちによってその体力を奪われ、そのまま
悲鳴を上げながらその場に倒れこむのであった。
「勝った・・・」
我を忘れて双剣を振るっていたマコさんが、
肩で息をしながらかろうじて言った一言だった。
「勝ったな」
ナグさんはにこっとマコさんに笑いかける。
それに応えるようにぴょんぴょんと飛び
跳ねて喜びを体で表すのだった。俺は冷静に
採血するように促した。街に戻るまでが
狩猟だ。
それから俺たちは「ラティオ山」から
下山し、「ン・ガンガ」の街に戻った。
俺はギルドの討伐報告などの雑務を一手に
引き受け、二人には「バサルコア」討伐
報告を一番にすべき人の下へ行くよう
促した。あの時の二人の喜びようを見たら、
一緒に雑務につき合わせるのも悪い気が
したからだった。二人との別れ際、マコさんが
喜び勇んで、ナグさんを宿まで走るよう
急かすのだ。その光景を見て、俺は思わず
嬉しくなって、自然と笑みがこぼれて
しまうのだった。俺は依頼書の半券を
見せて「バサルコア」討伐の旨を伝えた。
受付嬢がその半券の名前を確認すると、
彼女はこう言った。
「ナグ・トゥリーベルさんに伝言が
あります。同室のマサコ・トゥリーベリ
さんが先程から危篤状態にあるようです」
俺は驚き、声を荒げてしまった。それでは
何も知らずに向かった二人の事を
案ずると、居ても立ってもいられなく
なり、手続きは後回しにし、一目散へ
宿へ向かった。この時ばかりは時間が
経つのが遅く感じる。ギルド酒場から
宿までの距離は大してないのだが、
カウンターを過ぎて階段を一段一段掛けて
登っていくに連れて、このじれったい
感じが拭い切れないのが腹立たしかった。
そして肩で息をしながら、ゆっくりと
そのドアを開けると、ベッドの周りに
ナグさん、マコさんが立っていた。
そして主治医の先生がマサミさんの
脇に座っている。そこには何とも言い
がたい思い雰囲気、だが敢えて言うならば、
人の終末がそこにあった。
「ノーチェス、手続きは?」
受付嬢から伝言を聞いてすっ飛んで
きたと話した。
「そうか・・・」
重苦しい空気が身に纏わり付いて、目も
鼻も口も塞がれてしまったような
心持ちになる。だがナグさんは伝え
なければならなかった。
「ノーチェスよ。マサミがな・・・
ありがとうって」
言葉を詰まらせ、そして抑え切れなかった
感情が爆発したかのように声を上げて泣き
出した。これ以上は何も言うまいが、
たった今、マサミさんが亡くなったのだ。
主治医はうつむき、無言のままだった。
マコさんはその場にへたり込むと思うと、
泣きもせず、言うなれば大きな喪失感が
のしかかった壊れた人形のようになっていた。
希望に満ち溢れた頂点から絶望のどん底に
叩き落された二人は、今どんな気持ちなの
だろうか。病気の母を持つ身とは言え、結局
どこかに他人事という壁があるせいか、そこ
まで共感ができなかった。
そして温暖期の眠れぬ夜・・・
マサミさんは実家の「ポッケ村」ではなく、
「ン・ガンガ」で葬られる事となった。
街も街で、闘病中に死を迎えた患者に対して、
それようの墓地を設けているのだ。山を
二つ越えたところにある、共同墓地だ。
多種多様な宗教に対応できるよう、その
専門家が常に駐在しているのだった。
ナグさんは葬儀の間、ずっと泣き通しだった。
しかし、マコさんは埋葬する告別式には
参列せず、姿を消してしまったのだった。
彼女の最後の言葉が思い出される。マサミは
私の中で生き続ける、と。
「それって、どういう意味なの?まさか」
お前、不謹慎な事考えてただろう?
「・・・」
全く。マサミさんは遺言を二人に残した。
ナグさんには家督を継ぐように、マコさん
には私に代わって世界を見てきて欲しい、とな。
「んじゃあ、マコさんの私の中で生き
続ける、って言うのはどういうこと?」
ああ。うちの猟団に通称コマサって呼ば
れている、マサという女性団員がいるん
だけど、わかるか?
「あの『ですぅ』が口癖の子でしょ?
それってまさか!」
その通り。マコさんとマサさんが、
まさかの同一人物だった訳だ。
「へぇー。世間って狭いねぇ」
俺も、私の中で生き続ける、っていう
意味がようやく理解できたんだ。何で
自分の名前を捨てたのかはわからない。
でも、マサミさんの名前をその身に
宿すことによって、天国にいる彼女に、
見られなかった世界を見せているんだろう。
「それで、お母さんの薬はもらえたの?」
ああ。マサミさんは「黒星」を俺の
母さんに使うよう遺言してくれたんだ。
それから薬を調合するのは「ドンドルマ」の
調合師しか出来ないって言うんで、
そこまで足を運んでから、実家に薬を
送ったんだ。
「でも、よくはならなかったんでしょ?」
そうだな。でも、一時的に症状は抑え
られたらしい。それが無かったら、俺が
家に帰る前に、とっくに死んじゃってた
と思うんだ。だから、無駄足だったとは
思わない。
「そっか。で、火山を後にして、
それからどうしたの?」
ナグさんのザナドゥの話が気になってな。
「セクメーア砂漠」に行ったんだ。
「よく信じる気になったね」
伝説と呼ばれるものの中には、実在した
事実が形を歪めながら伝承されている
事もあるからな。まあ正直に言うと、
ろくな手がかりも無かったから、わらにも
すがる思いだったんだよ。
「砂漠の話、聞かせてよ」
ああ、これが俺の旅の佳境だったが、
俺は砂漠で人生最悪の一週間を過ごす
事になる。
検索タグ: MHF 二次創作小説 ノーチェス たがーる 多賀基宏 Noches・A・Verano コマサ
(更新 2008年12月17日 (水) 01時21分) / |
|
2008年12月10日 (水)
Quest for Xanadu 2-4
Black Star #4
「こいつはすばしっこいですよぅ」
「バサルコア」の突進をみてマコさんが
叫んだ。やはり通常の「バサルモス」とは
身体能力が違うらしい。俺たちは
その突進により散り散りになるほか
無かった。隊列がバラバラにされたが、
打合せ通りに各担当部位に配置に
接近する。俺は腹の甲殻が破壊
され、筋肉が露出するまでは尻尾の
切断に専念することとなっている。
「バサルコア」が尻尾を振り、
俺の接近を許してくれない。しかし
その間にマコさんが足元に入り、
奴の腹を鉄扇で叩き始めた。彼女は
スタミナ強化の為「強走薬グレート」を
飲用している。足の下で徹底的な
乱打をし始めた。同時にナグさんは
ハンマーで腹を直接叩く。硬い物には
硬い物を。打撃による衝撃を加えて
いけば、斬撃で硬い甲殻が破壊できる
のも遥かに効率がいいのは言うまでも
ないだろう。奴が尻尾を振り終えた
と同時に、黒甲殻に弾かれながらも
抜刀斬りで尻尾を攻撃する。尻尾に
触れられたのがそんなに嫌だった
のか、間もなく俺のほうに振り返ると、
再び走り出そうとした。ナグさんも
マコさんも「バサルコア」に撥ね
られるのを警戒して下腹部から脱出。
俺も轢かれまいと、すぐさま奴の
直線上から脱した。すぐさま奴の
後を追い、俺たちは指定の位置での
攻撃を始めようとした。しかし
「バサルコア」の様子がおかしい
ことにマコさんが気が付いた。
「ガスが出るです!離れて!」
幸いにして、俺の目の前で熱風が
通り過ぎていくだけだったが、
もう少し奥へ進んでいたら、
「バサルコア」体外に排出された
体内の余剰熱によって大やけどを
負っていたところだった。
「怖えぇな、黒バサル。普通は
催眠や毒ガスが一般的なのによぉ。
身体は既に大人ってことか」
俺は抜刀斬りを続け、尻尾に
ダメージを与えていく。やはり
黒甲殻は通常の甲殻より密度が
高く、なかなか斬れる代物ではない。
砥石を使って高い切れ味を維持
しようとするが、それでもこの
減り方は尋常ではなかった。
もちろん、同じ斬撃で腹の下で
暴れまわっているマコさんも
そうだ。マサミさんのためにと
鬼気迫ったものを感じるが、硬い
甲殻を持つ「イャンガルルガ」から
作られた「テッセン【烏】」も、
「砥石」で切れ味を回復させながら
やり繰りしないと、武器自体が
壊れてしまう。
「ふみぃ、汗が止まりませんよぉ」
マコさんは「クーラードリンク」を
掛け継ぎ飲み干した。「バサルコア」が
俺の方を振り返ると、噛み付きを
しようと、首を伸ばして大きな口を
開けてきた。奴の口に収まらないよう、
大剣で縦にガードして噛み付きを
防いだ。実質頭突きを喰らった
ような形になったので、その衝撃で
そのまま後ろへ下がらざるを得なかった。
そして納刀し、再び尻尾のある背後へ
回るのだった。その間にも、ナグさんと
マコさんは腹の下で暴れまわっている。
ダメージが大きくなっているせいか、
二人を追い払おうとその場で回転を
始めた。お陰で俺は尻尾を斬る事が
できず、中の二人も攻撃の機会から
逸することとなった。
「仕方がない、トラップを設置するぞ」
ナグさんは一度出た腹下に戻り、地面に
鏃の付いた鉄製の円盤を「バサルコア」の
足元の地面に突き刺した。すかさず
ナグさんはその場から脱し、その直後
奴の様子がおかしくなった。何かに
拘束されたかのように、固まって
動かなくなったのだ。
「シビレ罠だ。あの円盤に近づかない
ようするんだ。俺たちが喰らうと
強い麻痺で1日は動けなくなるからな」
痺れて「バサルコア」の頭が下がった
おかげで、ナグさんは鉄の塊である
金床をこれでもかと打ち込んだ。
マコさんは華麗に「バサルコア」の羽に
飛び乗ると、そこから背中をガシガシと
削り始めた。俺は力を貯めて、尻尾を
斬ることだけに集中した。力を一気に
解放し尻尾にぶつけると、確かな
手ごたえを得ることができた。尻尾が
断裂されたあまりの痛さに、
「バサルコア」は悲鳴を上げながら、
ものすごい力で罠を脱してしまった。
それと同時に「シビレ罠」が壊れて
しまったのだった。背中に乗っていた
マコさんは奴が飛び出す瞬間に、華麗に
ジャンプをして天女のように空を舞うと、
羽でも生えているかのように地面に
軽やかに着地を決めたのだ。ナグさんは
奴が飛び出した瞬間、屈んで前転回避を
して押しつぶされるのを見事に回避した
のだった。
「ノーチェスさん、グッジョブ。ですぅ」
「良くやってくれたぜ」
二人とも表情に明るさが戻ってきたように
思えた。絶望的に硬い「バサルコア」の
甲殻を一向に破壊できないという、重い
空気を変えたのだ。
「俺たちも負けてらんないな。マコ、
もういっちょ行くぜ」
「はいですぅ」
気持ちを入れ直すと、二人は再び
「バサルコア」腹の下に潜り込んで、
武器を振るい始めるのだった。俺の
最初の仕事は終わったが、次の仕事が
来るまでは、こいつの外殻を攻撃して
待機しているしかない。
それから間もなく、下腹部の二人の
雰囲気が変わっているように思えた。
「行くですぅぅぅぅぅ」
あのマコさんが声を荒げて甲殻を
攻撃し続けると、ついに甲殻が
破壊され、中の筋肉が露になった
のだった。
「よっしゃぁ!ノーチェス、
俺と交代だ」
しかし、「バサルコア」は逃走の為、
地下へ潜行するのだった。こればかりは
誰にも止められないが、俺は咄嗟に
「ペイントボール」を投げ、見事に背中に
着色すると何とか位置だけは把握できた。
そして「バサルコア」が居なくなると、
皆一息つくのだった。マコさんは緑の
笛を取り出して、俺たちにその音色を
聞かせれくれた。笛の先からキラキラと
輝く粉が噴出し、それが俺たちにも
纏わり付くと、疲れや傷を癒して
くれるのだった。「回復笛」と呼ばれる、
なかなかお目にかかれないアイテムの
一種だった。
「マコ、サンキューな」
俺もマコさんにお礼を言った。
「どういたしまして、ですぅ」
マコさんはぱぁっと明るく、可愛らしい
顔をして言った。
「よし、行くぞ!」
「はいですぅ」
俺とマコさんは気合の入った返事を
一発ナグさんに返すと、張り切って奴が
逃げたエリアへと移動するのだった。
「ペイントボール」の匂いは今居る
場所から南の方から臭いがしてくるの
だった。地下潜行されても落ちない
その臭いは、毎度の事ながらぶつけ
られた時のことを考えると恐ろしくなる。
「何やっているですかねぇ」
マコさんが指差した先には「バサルコア」が
空を飛んでいる蜂の巨大生物
「ランゴスタ」を捕食しているのだった。
「受けたダメージの回復を図って
いるんだろうよ」
ということだったが、近づく俺たちの
姿を確認すると、また咆哮を上げて
突進してくるのだった。このエリアは
火山活動によって溶岩がところどころに
流れ込んできているところだった。
下手をすれば「バサルコア」に道を
阻まれて逃げ道を失い、溶岩に飛び
込まなければならないシーンも
生まれてくる。奴の突進により、
再び俺たちは散り散りにさせられるが、
通過した後には三人とも直ぐに奴の
背後を取り、直ぐに攻撃態勢に入った。
ナグさんとマコさんが足と足の間、
俺が露出した腹部の筋肉という構成だ。
胸部から腹部にかけて大きく開かれた
筋肉は、それこそ普通の飛竜と同じ
赤い筋肉だった。環境によって様々に
分化する適用性は驚くべきことだ。
俺の「クロームデスレイザー」が
跳ね返されることなく筋肉に食い
込む。今までとは違う痛みに
「バサルコア」は戸惑いを隠せない
ようで、俺が腹部を切るたびに
時折怯むのだ。
「バサルコア」が毒に冒されるように
なってからは、動きも鈍くなってきて、
こちらの一方的な攻撃が続いた。だが、
このまま仕留められるほど飛竜種という
生き物は弱くはなかった。怒りの咆哮を
上げると、俺たちは耳を塞がずには
居られない。三人を怯ませた後に、
すぐさま回転による尻尾攻撃を行った。
尻尾はほんの先っちょが切れただけ
なので、本体はまだ残っている。その
尻尾に巻き込まれて、俺は外へと
弾き飛ばされた。足の下に居た二人は
脱出が遅れ、「バサルコア」の
体外に排出された火炎ガスの巻き
添えとなってしまった。その爆風に
よって吹き飛ばされてしまい、地面を
転がるのだった。怒りが頂点に
達した「バサルコア」はこれで攻撃の
手を緩めることはなかった。マコさんに
向かって、突進を仕掛けてきたのだ。
マコさんはガスにやられて苦しそうに
もがいているが、その場から脱するのは
難しそうだった。このままでは
マコさんは踏み潰されて死んでしまう。
身体は何とか動くので、マコさんの
下へと急いだ。その瞬間、一閃の光が
辺りを包んだ。どうやらナグさんが
「閃光玉」を投げて「バサルコア」の目を
くらませたのだ。俺は大急ぎで
マコさんを抱え、奴の正面から脱した。
一方、辺りが見えない「バサルコア」は
余計に怒りを煽ってしまったようで、
何度も何度も吼えるのだった。幸い
距離を取っていたので、耳を塞ぐ
ほどではなかったが、一度ベース
キャンプに戻る必要がありそうだった。
マコさんの火傷の具合を放って
置いては、身体に残ってしまうことも
あるからだ。そしてナグさんと
合流し、ナグさん自身の火傷の具合を
聞いた。
「俺は幸い、ガスの外縁部にいたから
大したことはなかったが・・・」
俺はマコさんを連れてベースキャンプに
戻るようナグさんに行った。後は
俺がやる、と。
「・・・わかった。終わったら直ぐに
応援するからな」
しぶしぶ納得したナグさん。
やはりマコさんのことが好きなんだ。
俺は彼の気持ちを大切にしてあげ
たかった。間もなく視界が回復したと
思われる「バサルコア」。恋人同士
仲良くやろうじゃないか。
検索タグ: MHF 二次創作小説 ノーチェス たがーる 多賀基宏 Noches・A・Verano コマサ
(更新 2008年12月10日 (水) 01時18分) / |
|
2008年12月3日 (水)
Quest for Xanadu 2-3
Black Star #3
昨日の夜はアルコールのせいで記憶が
無くなっていた。やはり自ら摂取
しない方が自分の為だと痛感した
夜だった。それから目が覚めたのは
既にお昼を過ぎていた頃だった。
「バサルコア」討伐は奴らが動き
出す夜からだ。火山活動が活発に
なるのと同時に動き出す習性が
あるのだそうだ。ある説だと、
地殻変動によって生じる低周波に
よって興奮し、活動的になるの
だと言われている。だから昨晩は
夜遊びができた訳だ。宿の階段を
降り、マサミさんの部屋の前を
通りかかった。部屋にいる人に
でも挨拶をしようと、ドアを
ノックして声を掛けた。
「どうぞ・・・」
微かな声がしたので、中には
マサミさんしかいないよう
だった。こんにちは、と声を
掛けながら恐る恐る中へ入った。
「こんにちは」
今日は一人なのか、と尋ねた。
「兄はお酒が飲めないくせに無理
するから、自室で寝込んでます」
くすくす、とマサミさんはリスの
ように小さく笑った。
「あなたは大丈夫なんですね」
恥ずかしくなり、マサミさんから
視線を外すと、記憶を無くして
しまった事を告げた。
「まぁ、お強い事」
そしてまたくすくすと笑い出す
のだった。
「いよいよ今日ですね、
バサルコア討伐は」
その名前を聞くと、嫌でも身が
引き締まる。
「お母様の事、聞きました。原因
不明の病気、黒龍病だって」
旅立ってから半年以上が経って
いる。村に残してきた母を思う
と、心配で胸が苦しくなる。
「お母様はご高名な『白銀の夜叉』
ミスティさんでしたよね。人は
黒龍病の存在を信じていませんが、
黒龍と対峙してしまったからこそ、
掛かってしまった病気だと、
私は信じます」
真剣な表情で切り出されると、
なんて言っていいのかわからなく
なる。すると彼女は突然こう
切り出したのだ。
「私は長くはありません」
俺は自分の耳を疑った。
「バサルコアの血・・・黒星は
お母様の為に使ってくださいね」
ナグさんやマコさんには聞かせ
られない言葉だった。だから俺は
嫌だと言った。マサミさんに
使うはずの薬を母は受け取ら
ないし、送ろうと思わない、と。
「・・・」
沈黙が走り、俺はそれに乗じて
続けた。そんな事を言ったら、
今まで頑張ってきたナグさんや
マコさんが悲しむ、と。
「だから辛いんです。私の先祖は
シキ国出で、それから由来する
名前なのですが、真に美を佐する、
詰まり助けるという意味が
あるんです。でも、昔から病気
がちで、助けてもらってばかり。
私があの二人の未来を食い
つぶしている怪物なんです」
ならばと思い、俺の名前の
ノーチェスは異国の言葉で
「闇」という言葉が当てられて
いる事を話した。
「闇だけではありません。その
言葉には夜と言う意味もあります。
きっと、美しい蒼き夜に生まれた
からこそ、お母様はそうお付けに
なったのでしょう」
それが本当かどうかはわからない。
でも、母はその意味を教えて
くれた事は一度も無かった。まるで
秘密の宝物を守る子供の様にだ。
「私としたことが、とんだ
おせっかいを。お母様が何も
おっしゃらないのは、きっと
あなた自身に気付いて欲しかった
からだと思います。暗闇に
かどわかされて夜に囚われるか、
オーロラが舞う妖しい夜と成るか、
月光で人々を導く夜と成るか・・・」
この旅を終えた頃に、きっと答えが
見つかるのではないかと思った。
だから俺は、答えが見つかるまで、
闇の中を奔走するだけだ、そう言った。
「素敵な答えが見つかると思います」
マサミさんが不器用そうに笑うと、
俺も笑顔を見せた。彼女の笑顔にも
慣れたせいか、いくらかは不自然さが
取れたような気がした、邪な笑顔だった。
いたたまれなくなった俺はマサミさんの
部屋を後にして、「ジャンボ」の
ライゾウさんからもらった防具
「ザザミシリーズ」のメンテナンスが
終わっている事を見越して、武具工房へ
顔を出した。今までこちらに来るまでに
何回か使用し、ダメージも食らって
いるものの、このまま使う分には問題
ないということだった。それからは
夕方まで昼寝をし、夜に備えて十分な
睡眠も摂った。
「ノーチェス、いるんだろう?」
目が覚めたのは、ナグさんがドアを
ノックする音だった。寝ぼけなまこを
こすり窓の外を見やると、既に夕刻で
あるということが分かった。俺は
ドアの向こうに居るナグさんに返事を
した。
「よし、入るぞ~」
「アンヴィルハンマー」に桃毛鮮や
かな「コンガ」シリーズを着用する
ナグさんが部屋に入ってきた。
「そろそろ時間だ。マコが表で待ってる」
俺は直ぐに準備する旨を伝えると、
「ザザミ」シリーズの防具を装着し、
武器は「クロームデスレイザー」を
背負った。外殻が硬い「バサルコア」
には太刀「香駿」では心もとない気が
したからだ。
準備が整い外に出ると、双剣の
「テッセン【烏】」を携え「バトル」
シリーズを身を包んだマコさんが
居た。頭がむき出しになって
いるようだが、耳に「レッドピアス」を
し、耐火性を高めている。ついでに
髪型が「ギザミシックル」と呼ば
れるツインテール。その理由も
聞いてみた。彼女は元々舞踏を
習っており、それに合わせた
双剣の舞を得意としている。
ツインテールなのは、舞った
時に描く流線形が綺麗に見える
から、という理由だそうだ。
日が沈み始めた頃、船で海を
渡り「ラティオ山」ベース
キャンプにやってきた。その頃には
もう日が沈み、山が怒涛の
如く火を噴いている。高く昇る
赤黒い噴煙と、時折揺れる大地に、
この世の終焉を感じるほどの局地。
静かな雪山が恋しくなる。
まずは「バサルコア」の探索だ。
危険な場所である為、今回は
固まって行動することにした。
岩山が残る場所を歩いていくと、
山へ入る洞窟が見えてきた。
この先から「クーラードリンク」を
飲む必要がある高熱地帯だ。
飲まなければ熱気により身体が
焼かれ、死に至る。全員
「クーラードリンク」を飲み終えると、
高熱地帯に進入した。洞窟中では
「イーオス」の群れが占拠しており、
俺たちの姿を見つけると、そいつが
仲間たちに襲撃を知らせる鳴き声を
上げた。全部で五頭の「イーオス」
たちが、一斉にこちらに向かって
走ってきた。
「お前ら、まずはこいつらから
片付けるぞ」
ナグさんが「アンヴィルハンマー」を
手に取ると、それに続いて俺も
「クロームデスレイザー」を
抜刀した。俺は「イーオス」と
戦うのはこれが初めてだった。
「普通のランポスとは体力も
攻撃力も上ですぅ。倒れたから
といって、油断しないでくださいぃ」
と、マコさんにアドバイスをもらった。
「それと毒液を吐くから、
それにも注意ですぅ」
俺は了解、と返事をした。ナグさんの
武器はリーチが短いので、「イーオス」の
目の前に出てハンマーを縦に振るい、
フィニッシュに下から上へと振り
ぬくと、頭蓋を破壊した。マコさんは
両手の鉄扇を広げると、何も知らずに
走ってきた「イーオス」に刃を
食い込ませた。まるで風のように
鮮やかな足の運びで周囲を舞うと、
最後に二枚の扇を鋏のように重ね、
一瞬のうちに首筋を刎ねた。俺は
大剣で薙ぎ払いをして威嚇し、
怯んだ隙に前転で一気に距離を
詰めて、下からの斬り上げにて
攻撃をした。今ので距離を一気に
離したので納刀して再び接近、
抜刀斬りにて止めを刺した。
三人であたりのイーオスを駆逐し
終えると、溶岩から何かが浮上
してくる様子が伺えた。
「来たな・・・」
ナグさんの一言で俺やマコさんに
緊張が走った。こちらから探す
手間が省けた「バサルコア」の登場だ。
「お、大きいですぅ~」
「バサルモス」で比べると、現在
確認されている最大固体よりも
大きい。どうやら小さな「グラビモス」
位だという。短く先が尖っている
尻尾も、果実のような小さな膨らみを
確認できた。顔も「バサルモス」独特の
二本の角が無く、短いながらも一本の
角が生えている。これから「グラビコア」に
成長をしようとしている印象を受けた。
「黒バサル。こうでなくっちゃな」
待ち望んでいた相手だけに、ナグさんが
その意気込みを語る。溶岩から上がって
きた「バサルコア」は俺たちの姿を
確認すると、咆哮を上げながらそのまま
こちらに突撃してきた。
検索タグ:
(更新 2008年12月3日 (水) 17時41分) / |